自民党金融調査会は5月に取りまとめた提言書の中で、現政権が掲げる「強い経済」の果実を享受できる地方経済を構築するため、地域における「投資銀行サービスの拡充」「新たなメインバンクサービスの創設」「地域金融機関の地域経営力の強化」に取り組むように政府に求めました。
その上で、地域金融機関の融資について、その多くが「成長企業ではなく、担保・保証をつけやすい企業に対して行われる状況がみられる」と指摘。「(金融機関は)そのビジネスモデルを単に個別の持続的長期的な資金供給にとどまらず、DX・事業承継・M&A、人材育成等を通じて地域資源を再編し、成長企業を育てる『面的な地域変革型メインバンク』に転換していく必要がある」との認識を示し、以下のように提言しました。
「地域産業成長プラン」(「地域産業クラスター計画」及び「地場産業成長プラン」)を踏まえつつ、中小企業庁と金融庁が連携し、地域金融機関の参加も得て、地域ごとに伴走支援・再生支援の現状・課題を可視化しつつ、特に重点的に支援を行うべき事業者に対して、地域金融機関を含む関係機関のタイムリーな伴走支援・再生支援を実現する、県別「地域未来金融アクションプラン」(仮称)を策定し、「成長型再生」を後押しすべきである。
金融調査会の提言を受け、中小企業庁が6月2日に開いた中小企業政策審議会金融小委員会の第16回会合では、同庁の担当官が次のように述べました。
「中小企業庁においては金融庁と各地方局を連携させ、各地域における金融機関や保証協会、関係主体が枠組み・座組を組んだ上で、地域別の企業の財務状況、あるいは地域経済への影響などをモニタリングし、早期の再生支援計画をまとめるといったアクションプランを整理し、順次まとめていきたい」
事務局が提出した資料では、地域の中小企業金融の状況を把握し、課題の「因数分解」を実施した上で、主体別、中小企業の状況別に、成長促進や抜本再生、円滑な廃業・再チャレンジに向けた役割分担などを整理してアクションプランを策定する方向性を提示。会合では有識者委員側から、プラン策定に賛同する声が上がっていました。
(※図表は中小企業公表資料より)
高市政権「3計画」との関係性は?
新たな都道府県別プランは、石破政権下で議論が始まった「地域金融力強化プラン」の中身を、高市政権下で「強い経済」実現を目指して策定された計画の文脈に回収する動きの一環とも言えます。
現政権は既に「戦略産業クラスター計画」、「地域産業クラスター計画」、「地場産業成長プラン」の3つの計画を打ち出しています。戦略産業クラスター計画は戦略17分野を軸に、熊本のTSMC、北海道のラピダスのようなインパクトをもたらすクラスター(強化された産業集積)を国レベルで支援する方向性を整理。「地域産業クラスター計画」は県が主導し、「地場産業成長プラン」は市町村も交えて、各地の有望企業や地場産業などに対する支援策をそれぞれ取りまとめる予定です。
地域未来金融アクションプランは、このうち「地域産業クラスター計画」と「地場産業成長プラン」の2つに紐づけられ、成長資金の供給に向けた具体策を地域ごとに整理する見通しです。各地の金融機関においては将来の自行ビジネスに影響を及ぼしうる新プランの策定に向け、議論に主体的に参画することが求められることになりそうです。
