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2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く

佐々木 城夛
佐々木 城夛
オペレーショナルデザイン株式会社 取締役デザイナー
2026.06.22
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2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く

非上場の銀行を含め、地方銀行61行、第二地方銀行35行が5月中に決算短信を公表した。預り資産に関係するデータを抽出した上で、筆者が注目したいくつかのポイントについて、それぞれ簡潔に考察を加えることとしたい。

まず前提として、預り資産はその名のとおり金融機関が預かった(預託を受けた)顧客名義の金融資産であり、金融機関自身の資産や負債ではない。このため、金融機関の貸借対照表の勘定科目としては計上されない。

 

 

また、証券取引所の適時開示規則に基づく開示事項である決算短信と、金融商品取引法に基づく有価証券報告書との性格の違いもあり、96行の預り資産の開示実態にはかなりの違いが認められる。よって今回抽出した数値は、銀行をまたいで絶対的な値として比較するよりも、同一行の伸び率などに注目する参照手法にこそ適している。筆者としては、各行の施策の(大まかな)有効性を検証する一助となれば嬉しく思う。

地銀の総残高は15%弱の伸び

具体的な数値に移りたい。まずは預り資産の総額に注目した。2025年3月と対比した地方銀行61行の伸び率を高い順に並び替えた。

 

 


末尾の開示残高計(=公表値の合計)のとおり、非開示の5行を除く56行の合計額は、1年間に14.55%伸びており、個別でみても56行全てがプラスだ。預金残高を減少させる地方銀行もみられる中での増加の動きは、個人投資家などに「貯蓄から投資へ」の投資行動が定着してきた実情を裏付けるものだろう。

個別の動きでは、9位の沖縄銀行までの伸びが2割を超えた。1位の八十二長野銀行は2026年1月1日に八十二銀行と長野銀行が合併して誕生しているため、2025年3月末の数値は旧2行の単純合算値だ。そうした背景の中で、1年に4割の伸びは驚異的と言わざるを得ない。

 

第二地銀の総残高も10%超の伸び

次に、第二地方銀行の動向に着目した(形式や順番は地方銀行と同一)。末尾の開示残高計のとおり、非開示の2行を除く33行の合計が年間に12.74%と、こちらも2桁以上の伸びとなった。33行中30行、つまり9割以上がプラスで、個別の動きでは最大手の北洋銀行の伸び率が最も高かったことが特徴的だ。同行は人口や事業者の減少に悩み、それゆえに融資ニーズが強い地域とは言えない北海道内に(東京都内の1店舗を除く)ほぼ全ての店舗を置く。それゆえに、営業店に配置した行員を預り資産の獲得に振り向けた戦略等を見込む。

 

 

 

33位の福邦銀行は2026年5月2に福井銀行と合併し、現在は福井銀行となった。このため合併に先立ち、業務の整理・統合を行っていたことが想像に難くない。東日本銀行も、横浜フィナンシャルグループ内で、機能を改めて整理した可能性が見込まれる。

地銀の投資信託残高は2割超の伸び

次に、投資信託の残高に着目した。最初は地方銀行だ。総残高同様に、2025年3月末と対比した伸び率の高い順で並べ替えた。

 


末尾の開示残高計(合計)のとおり、非開示の7行を除く54行の合計では、年間に23.39%と総残高を上回る伸び率を示している。個別でみても、野村證券との包括的業務提携により、投資信託の残高を移管した東邦銀行を除く53行が全てプラスとなった。実質的に全行プラスと言えるだろう。

個別の動きでは、9位の七十七銀行までの伸びが3割を超えた。その顔ぶれに、静岡・十六・八十二長野・山口・百五・七十七と、各県内預金シェア1位の地銀が名を連ねていることからも、大手地銀の主要営業地域内での投資信託販売への本気度が窺える。
53位の鹿児島銀行でも4.08%もの伸びが認められたことは驚異的だ。業態や科目は異なるものの、2025年度中のみずほ銀行・三菱UFJ銀行の譲渡性預金を除く預金の伸び率は、いずれも4%台だった。

 

 

 

第二地銀の投資信託残高も2割超の伸び

最後に、第二地方銀行の投資信託の残高に着目した。総残高と同じく、形式や順番は地方銀行と揃えた。

 

 


末尾の箇所をご参照いただければ分かるように、こちらも非開示の5行を除く30行の伸び率が2割を超えた。好調な株価を背景に、投資信託の銀行窓口販売というチャネルを通じて地方部でもリスクマネーが市場に流れ込んでいる証左となろう。前年度末比マイナスも福邦銀行に限られるため、実質的には全行プラスの動向が認められたと言えるだろう。

個別の動きでは、3位の名古屋銀行までの伸びが3割を超えた。1位の宮崎太陽銀行は4割近くに達し、2022年11月末に130億円の公的資金を2年4か月前倒しで返済していることからも、行内一体となって投信販売に取り組んでいる様子が連想できる。

周知のとおり3位の名古屋銀行は、静岡銀行との間で2028年4月に株式交換を実施し、しずおかフィナンシャルグループの完全子会社となることが予定されている。貸出業務や地域企業への支援などを中心に統合効果が報じられることが多いが、経営統合後の強みに、投資信託の強みが挙げられることになるのかもしれない。
 

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著者情報

佐々木 城夛
ささき じょうた
オペレーショナルデザイン株式会社 取締役デザイナー
1967年東京生まれ。1990年慶應義塾大学法学部法律学科卒、信金中央金庫入庫。欧州系証券会社(在英国)Associate Director、信用金庫部上席審議役兼コンサルティング室 長、静岡支店長、地域・中小企業研究所主席研究員等を経て2021年4月に独立。2023年6 月より現職。沼津信用金庫非常勤参与。 「ダイヤモンド・オンライン(ダイヤモンド社)」・「金融財政ビジネス(時事通信社)」ほか連載多数。著書に「いちばんやさしい金融リスク管理(近代セールス社)」ほか。HP アドレスは https://jota-sasaki.jimdosite.com/
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