金融政策の正常化は市場機能回復への道筋でもある
――株式市場に目を向けると、日銀は大量のETFを購入し続けてきました。金融政策が正常化に向かう中で考えられる出口戦略とは、どのようなものでしょうか。
YCCやマイナス金利政策のほうが優先順位は高いため、植田総裁がETFの出口戦略に着手するのは任期の後半だと思います。
出口の参考例としては1998年の香港のケースが挙げられます。当時はヘッジファンドや投資銀行の大量の空売りに対して、香港金融管理局が短期間だけ株式市場に介入して株価を押し上げたのです。その出口として、管理局は購入した株式を別機構に移管し、それをETFに組成して、時間をかけて個人投資家に割安で売却していきました。これは個人であれば時価評価に煩わされず、長期保有してくれる可能性があったためです。しかも、長く保有するほど追加でETFを「おまけ」としてプレゼントするインセンティブも与えました。