finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
未来予想図

【プロが解説】「服の製造小売り」は、デジタル力による顧客ニーズ対応と、「捨てない社会」のマネタイズ化が今後の市場発展のカギ

上野 武昭
上野 武昭
コモンズ投信運用部シニア・アナリスト
2025.07.01
会員限定
【プロが解説】「服の製造小売り」は、デジタル力による顧客ニーズ対応と、「捨てない社会」のマネタイズ化が今後の市場発展のカギ

日本の新しい国づくりに向け“変化を始めた企業”、“変化にチャレンジする企業”を中心に、中長期的な視点で厳選した国内株式を主な投資対象とする、コモンズ投信のアクティブファンド「ザ・2020ビジョン」。その月次レポートから、アナリストによるコラムをご紹介します。
※本稿は「ザ・2020ビジョン」月次レポート(作成基準日 2025年5月30日)内『未来予想図』を転載・再編集したものです。

服の製造小売り、デジタル力と「服を捨てない社会」への取り組みで注目

デジタル力で在庫ロスを大きく低減させる企業も

服の製造小売り(SPA)に注目している。服は、素材の進化や縫製技術の進化により、多様なデザインが生まれるとともに、機能性も高まり消費者の生活を豊かにする。また、インターネットの広がりにより、世界中へ情報がリアルタイムで流れることで、消費者は好きな服が見つけやすくなり、販売側はマスマーケティング戦略を活用しやすくなっている。

服の製造小売りの経営にとって、在庫ロス(商品が売れ残ったり、期限切れなどで廃棄されたり、在庫不足で販売機会を逃したりすることで発生する、本来得られるはずの利益の損失)をできるだけ出さないことが必要。企業によっては、購買データの蓄積から、需要予測の精度が高まり、それを商品企画(顧客の要望を汲んだ商品開発)に生かすと同時に、本部、店舗(ECを含む)で購入する顧客、生産協力工場を情報システムで結び、必要な分だけ作り供給するしくみができてきたところもある。

 

衣料市場が縮小する国内、変化対応で優劣

日本の衣料市場は低調だ。日本経済新聞の今年5月下旬の記事のなかに、国内の衣料消費の動向についての特集があった。国内の衣食住の支出額の比較において、2005年以降の過去20年をみると、食料が2005年比較で24%増、住居が同6%減に対し、衣料は同28%減と大幅な減少だった。

国内の衣料市場が大きく縮小するということは、顧客ニーズに対応できない、あるいは、生産性の低い企業の淘汰が進む。逆に、顧客ニーズに対応できている会社は、他社のシェア獲得やビジネス領域を広げながら業績を伸ばしている。

 

「服を捨てない社会」の実現を目指す

服の製造小売りにとって、中長期の注目点は、サプライチェーンの持続可能性への取り組み。服の生産から消費者へ販売する段階においては、生産協力工場との強固なパートナーシップを強化し、原材料の調達から縫製までの全工程に、品質、調達、生産体制、環境、人権対応の基準を厳格に適用し、サプライチェーン全体の管理・見える化が進み始めている。

一方、服を販売した後における、サステナブルな取り組みは、簡単には進んでいない。23年11月の 消費者庁サステナブルファッションサポーター懇談会によると、「衣類の国内新規供給量の約80万トン(年)に対し、その9割に相当する約73万トンが、事業所及び家庭から使用後に手放される。このうち、廃棄される量は47万トン。リサイクルされる量は13万トン、リユース(海外輸出分含む)される量は13万トン」。

廃棄される量はリサイクルおよびリユースを合わせた量よりも圧倒的に多い。ただ、服の製造小売りのなかには、販売後の服にも責任をもち、リユース、リサイクルを通して、服を長く活かし続ける取り組みに力を入れている企業も存在する。「服を捨てない社会」がどのようにマネタイズされるか、今後の展開が大変興味深い。

 

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
【プロが解説】注目を集める日本の造船業、職人技術が脚光を浴びる存在に!
2025.06.02

この連載の記事一覧

未来予想図

【プロが解説】「服の製造小売り」は、デジタル力による顧客ニーズ対応と、「捨てない社会」のマネタイズ化が今後の市場発展のカギ

2025.07.01

【プロが解説】注目を集める日本の造船業、職人技術が脚光を浴びる存在に!

2025.06.02

【プロが解説】ウクライナの復興需要における、日本企業のニーズとチャンスを探る~1日も早い紛争終結を願って

2025.05.01

【プロが解説】社会課題を解決する企業を応援する「インパクトファンド」は、「今日よりもよい明日」の実現につながる

2025.04.01

【プロが解説】少子高齢化、労働力不足…社会課題の救世主となるのか? ヒューマノイドロボット〈ヒト型ロボット〉の今後はいかに

2025.03.03

【プロが解説】アカデミー賞、エミー賞受賞、キャラクタービジネスでも世界を圧倒! 日本のコンテンツが生成AIと共に夢あるエンターテインメント発展することを期待

2025.02.03

【プロが解説】自動車業界で大変革進行中! EV、テスラ登場の裏で、修理人材不足が課題に

2025.01.07

【プロが解説】起業家の熱意×投資家の共感という好循環に期待

2024.12.02

【プロが解説】28品目のごみ分別! 鹿児島県大崎町でリサイクルを考える

2024.11.01

【プロが解説】EV(電気自動車)シフト、遅延の背景を探る

2024.10.01

おすすめの記事

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉑
パフォーマンス好調な欧州株ファンドに約11年ぶり高水準の資金流入

藤原 延介

【プロが解説】「服の製造小売り」は、デジタル力による顧客ニーズ対応と、「捨てない社会」のマネタイズ化が今後の市場発展のカギ

上野 武昭

新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】

finasee Pro 編集部

【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか

みさき透

不安定な市場環境で「利回り」と「信用力」の高さを併せ持つ米国地方債にチャンス=フランクリン・テンプルトン・アメリカ地方債ファンドが設定3周年

finasee Pro 編集部

著者情報

上野 武昭
うえの たけあき
コモンズ投信運用部シニア・アナリスト
山一證券、WestLB証券、CLSA証券など国内外証券の調査部に23年間、ロイター編集局に3年間、アナリストとして在籍。証券会社とニュースメディアの視点から企業を調査。2013年6月にコモンズ投信に入社。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉑
パフォーマンス好調な欧州株ファンドに約11年ぶり高水準の資金流入
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
【文月つむぎ】伊藤豊氏が金融庁長官に就任へ 
知っておきたい新長官&3局長の横顔
不安定な市場環境で「利回り」と「信用力」の高さを併せ持つ米国地方債にチャンス=フランクリン・テンプルトン・アメリカ地方債ファンドが設定3周年

金融庁が「プログレスレポート2024」の公表を休止した深いワケ 「FDレポート」との違いが出せなくなった?
【連載】投信ビジネスのあしたはどっちだ
資産形成を達成した後…「次なる課題」
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上
【文月つむぎ】伊藤豊氏が金融庁長官に就任へ 
知っておきたい新長官&3局長の横顔
新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”
【連載】投信ビジネスのあしたはどっちだ
資産形成を達成した後…「次なる課題」
静銀ティーエム証券の売れ筋で際立つパフォーマンスをみせた「モノポリー戦略株式」とは?
【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
常陽銀行にみる株式ファンドへの逡巡、「相互関税」と「中東緊張」で様子見の中を上値に進むファンドは?
【金融風土記】宮崎県には地方創生の「優等生」も! 地域金融機関の集約が進む
不安定な市場環境で「利回り」と「信用力」の高さを併せ持つ米国地方債にチャンス=フランクリン・テンプルトン・アメリカ地方債ファンドが設定3周年

「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
【文月つむぎ】投信だけでなく保険販売でもFDを徹底できるか?知っておきたい「保険業法」改正のポイント
【文月つむぎ】「プラチナNISA」という言葉がない!自民党金融調査会の最新提言を読み解く
いわき信組の不正を見抜けなかった金融庁、「根本的な人員不足」も背景
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
浪川攻の一刀両断
手数料自由化とファンドラップから見る日本と米国の証券リテール改革の相違
【文月つむぎ】伊藤豊氏が金融庁長官に就任へ 
知っておきたい新長官&3局長の横顔
三菱UFJMS証券の売れ筋にみえる国内株式ファンドへの期待、物価高で苦しむ年金生活者を支えるファンドとは?
外貨関連を軸に多彩なサービスを展開顧客の信頼を勝ち取る「総資産アプローチ」case of SMBC信託銀行
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら