finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
未来予想図

【プロが解説】自然界から調達可能な次世代エネルギー技術「核融合発電」と、リサイクル技術に見る”ビジネスチャンス”とは

古川 輝之
古川 輝之
コモンズ投信 運用部 アナリスト
2025.10.01
会員限定
【プロが解説】自然界から調達可能な次世代エネルギー技術「核融合発電」と、リサイクル技術に見る”ビジネスチャンス”とは

日本の新しい国づくりに向け“変化を始めた企業”、“変化にチャレンジする企業”を中心に、中長期的な視点で厳選した国内株式を主な投資対象とする、コモンズ投信のアクティブファンド「ザ・2020ビジョン」。その月次レポートから、アナリストによるコラムをご紹介します。
※本稿は「ザ・2020ビジョン」月次レポート(作成基準日 2025年 8月29日日)内『未来予想図』を転載・再編集したものです。

実現が視野に入ってきた夢のような次世代エネルギー技術

次世代エネルギーとリサイクル技術のビジネスチャンスについて考えてみたいと思います。

ここ数年AI(Artificial Intelligence=人工知能)が日常生活や仕事等様々な場面で普及しており、今後も同様の傾向が継続すると仮定するとエネルギー安全保障の観点からも重要な要素だと考えています。

次世代エネルギーというと、化石燃料に頼らない自然由来のエネルギーである太陽光、風力、地熱等を想像すると思われます。今回のテーマで取り上げるのは核融合技術を利用した『核融合発電』についてです。核融合発電とは、原子力発電で利用される核分裂とは異なり放射性が高いウランなどの物質は利用せず、自然界(海水)からほぼ無尽蔵に調達できる重水素と核融合発電の稼働によって稼働後は炉の中で自己生成できる三重水素の反応によってエネルギーを引き起こしそのエネルギーでタービンを回す発電のことです。地上でこの発電を起こす条件としては約1億度の高温で、10気圧程度の高密度で、長い時間プラズマを閉じ込めることです。様々な発電方式、また同じ発電方式でも設計思想が異なるものもあり、各社がしのぎを削っています。いずれにしても安定稼働すればエネルギーコストが安価でかつ稼働による暴走リスクが極めて低く、地球環境負荷に貢献しうる夢のような次世代エネルギー技術です。

発電の基本的な流れは以下の通りです。
1,燃料の準備
2,プラズマ化
3,磁場閉じ込め(磁場閉じ込め方式のみを想定)
4,核融合反応の発生
5,熱エネルギーの回収

1の工程は先に述べた通りであり、2以降の工程も含めて核融合発電の歴史は70年以上前からの研究成果の賜物であるということです。

主流、非主流いくつかの発電方式がありますが、ある方式では3,磁場の閉じ込めと5,熱エネルギーの回収が今後重要になってくる工程です。3,磁場の閉じ込めにおいては電気抵抗をゼロにする超電動の状態(≒リニアモーターのイメージ)が必要であり、超電導コイルが利用されます。この分野においては日本の電線メーカーの活躍が期待されます。

また5,熱エネルギーの回収においては、ブランケットといわれる金属膜が大事になってきます。炉の中で高温の物質(中性子)を集めて、そのエネルギーをうまく取り出して活用するためのものです。特にこの金属膜については従来は固体金属で想定されていたものを液体金属で設計することにチャレンジしています。一方で液体金属には課題もあります。常時循環出来るかどうか、また炉壁との相性などです。

様々な観点で課題はありながらも電線分野における技術力、金属加工における技術力及び金属リサイクルにおける技術力をもって同分野での活躍に期待しています。

金属においては鉱物源そのものや精錬加工された原料含めて日本は輸入に依存している点では、いかにリサイクル技術を高め、経済合理性を担保できるかが重要になってきます。当初、同発電の稼働は2040~ 2050年くらいの目線でみられておりましたが、初号機での発電を2034年に見据えて動き出している企業もあります。

何をどうしたらよいか分からないサイエンスリスクのフェーズから、やるべきことは整理できあとは必要な投資をふんでいくエンジニアリングリスクのフェーズに移行しているとのことです。

まさにいま海外企業との開発競争の中でも資金調達が重要な時期にさしかかっており、海外の企業は年金やインパクト投資家も同事業に拠出しているとのことで、日本においてもそのような長期のリスクマネーが必要になってきます。

20年も30年も先かと思われた同技術の社会実装が少し現実味のある時間軸まで近づいた気がしておりわくわくしています。当社『ザ・2020ビジョン』のコンセプトである『この先の日本に起こる変化をしっかり見通し、5~ 10年先を見据えた運用』のフォーカスにも入ってきた印象ですので、引き続き同技術の進展及び社会実装をみていきたいと思います。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #運用会社
前の記事
【プロが解説】ピンチはチャンス⁉ トランプ関税を契機にグローバル市場で飛躍する、「したたかな」経営力のある企業に注目
2025.09.01
次の記事
【プロが解説】2026年3月のWBCはネットフリックスが独占! 高度な視聴体験を実現する、新たな通信技術活用に期待
2025.11.04

この連載の記事一覧

未来予想図

【プロが解説】光電融合技術「シリコンフォトニクス」が変える未来ー2026年、光の時代が始まる

2025.11.18

【プロが解説】2026年3月のWBCはネットフリックスが独占! 高度な視聴体験を実現する、新たな通信技術活用に期待

2025.11.04

【プロが解説】自然界から調達可能な次世代エネルギー技術「核融合発電」と、リサイクル技術に見る”ビジネスチャンス”とは

2025.10.01

【プロが解説】ピンチはチャンス⁉ トランプ関税を契機にグローバル市場で飛躍する、「したたかな」経営力のある企業に注目

2025.09.01

【プロが解説】私たちの生活を根本から変える⁉ “ポストスマートフォン”との呼び声高い、次世代ウェアラブル「ARグラス」のある未来とは

2025.08.01

【プロが解説】「服の製造小売り」は、デジタル力による顧客ニーズ対応と、「捨てない社会」のマネタイズ化が今後の市場発展のカギ

2025.07.01

【プロが解説】注目を集める日本の造船業、職人技術が脚光を浴びる存在に!

2025.06.02

【プロが解説】ウクライナの復興需要における、日本企業のニーズとチャンスを探る~1日も早い紛争終結を願って

2025.05.01

【プロが解説】社会課題を解決する企業を応援する「インパクトファンド」は、「今日よりもよい明日」の実現につながる

2025.04.01

【プロが解説】少子高齢化、労働力不足…社会課題の救世主となるのか? ヒューマノイドロボット〈ヒト型ロボット〉の今後はいかに

2025.03.03

おすすめの記事

【新NISA対象】ブラックロックから「iシェアーズ S&P500 トップ20 ETF」「iシェアーズ ゴールド ETF」が上場! 個人投資家にとっての魅力は…

Finasee編集部

【プロが解説】光電融合技術「シリコンフォトニクス」が変える未来ー2026年、光の時代が始まる

末山 仁

三井住友銀行の売れ筋でランクアップしたファンドは? ランクインした「ライフ・ジャーニー」は期待以上のリターン

finasee Pro 編集部

みずほ銀行の売れ筋は単位型ファンドの一巡で定番ファンドが復調、意外と高リスクのファンドが人気化

finasee Pro 編集部

金融緩和、インフレ、インバウンドで日本の近代美術作品に熱視線?――アート市場の最新動向を銀座画廊界キーパーソンに聞いた

川辺 和将

いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影

川辺 和将

著者情報

古川 輝之
ふるかわ てるゆき
コモンズ投信 運用部 アナリスト
日東電工はじめ、国内の事業会社にて経理、財務、IRに従事。2022年5月にコモンズ投信に入社。現在は機械セクター中心に幅広くリサーチ活動に従事。
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
金融緩和、インフレ、インバウンドで日本の近代美術作品に熱視線?――アート市場の最新動向を銀座画廊界キーパーソンに聞いた
みずほ銀行の売れ筋は単位型ファンドの一巡で定番ファンドが復調、意外と高リスクのファンドが人気化
三井住友銀行の売れ筋でランクアップしたファンドは? ランクインした「ライフ・ジャーニー」は期待以上のリターン
【連載】こたえてください森脇さん
⑪預かり資産業務に対するマネジメント層の理解が低い
投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング 
銀行、証券会社以外の選択肢とは?【IFA編】
大和証券の売れ筋で光る“超新星”、「ピクテ・ゴールド」をパフォーマンスで上回る株式ファンドとは?
いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影
「支店長! 正直なところ顧客本位と顧客満足の違いが分かりません」
マン・グループの洞察シリーズ⑫
金に投資する意味とは何か
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ
【連載】こたえてください森脇さん
⑪預かり資産業務に対するマネジメント層の理解が低い
いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影
マン・グループの洞察シリーズ⑫
金に投資する意味とは何か
石破カラー残る「地域金融力強化策」、高市政権はいかに脱色・染め直しをするか?
金融緩和、インフレ、インバウンドで日本の近代美術作品に熱視線?――アート市場の最新動向を銀座画廊界キーパーソンに聞いた
高水準の資金流入と株高で純資産残高が約8兆円の大幅増、流入4位に日本株バリュー。高パフォーマンスは「半導体」=25年10月投信概況
大和証券の売れ筋で光る“超新星”、「ピクテ・ゴールド」をパフォーマンスで上回る株式ファンドとは?
野村證券の売れ筋で「日経225」がトップ奪還、「ゴールド」を超えるパフォーマンスでランクインしたファンドは? 
みずほ銀行の売れ筋は単位型ファンドの一巡で定番ファンドが復調、意外と高リスクのファンドが人気化
【新連載】プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
①プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性
投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング 
銀行、証券会社以外の選択肢とは?【IFA編】
【ネット証券&対面証券72社編】投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング
片山さつき新大臣は「資産運用立国」基本線を継承へ!一方、岸田元首相が運用業界につきつけた「注文」とは…
「動画を上げるぞ」「マスコミに流すぞ」に毅然と対応できる?――日証協の新カスハラ対策マニュアルの中身とは
【連載】こたえてください森脇さん
⑩役席者には収益目標、現場には残高目標。両方を達成するには?
【新連載】プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
①プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性
【連載】こたえてください森脇さん
⑨顧客本位の実践より、自身の営業成績を優先している方が評価されていると感じる
【連載】こたえてください森脇さん
⑪預かり資産業務に対するマネジメント層の理解が低い
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(3)アクティブファンドのモニタリング② α(アルファ)値とβ(ベータ)値
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら