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未来予想図

【プロが解説】8.5兆円の国内アパレル市場は群雄割拠、商品戦略と周辺事業が企業価値を左右する

上野 武昭
上野 武昭
コモンズ投信運用部シニア・アナリスト
2026.03.02
会員限定
【プロが解説】8.5兆円の国内アパレル市場は群雄割拠、商品戦略と周辺事業が企業価値を左右する

日本の新しい国づくりに向け“変化を始めた企業”、“変化にチャレンジする企業”を中心に、中長期的な視点で厳選した国内株式を主な投資対象とする、コモンズ投信のアクティブファンド「ザ・2020ビジョン」。その月次レポートから、アナリストによるコラムをご紹介します。
※本稿は「ザ・2020ビジョン」月次レポート(作成基準日 2026年1月30日)内『未来予想図』を転載・再編集したものです。

アパレルの国内市場に明るさ、各社独自戦略で数兆円市場での成長を競う

国内アパレル市場は数兆円規模

アパレル企業の事業環境が良好です。海外で展開するグローバルSPA(製造小売業)だけでなく、国内ビジネス中心の会社もコロナ禍後の構造改革を経て収益環境に明るさが戻っています。

国内のアパレル市場は全体で8.5兆円規模といわれます。コロナ禍後の市場は、緩やかな増加が続いています。商品カテゴリー別にみると、ハイエンド、トレンドマス(百貨店など)、マスボリューム(ショッピングセンター、グローバルSPA)、ロウ(LOW)マーケット、などに分かれる。最もウエイトが大きい分野がマスボリュームで、その市場規模は5.5兆円程度とみられています。マスボリュームがアパレル全体の市場を牽引しています。

圧倒的な市場占有企業がいない

国内のアパレル市場では、シェアトップの企業でも10%強のシェアとみられています。圧倒的なシェアを持つ会社が存在せず、それぞれの企業が独自の強みを生かしながら、多様化する洋服あるいはファッションのニーズに対応して展開している状況です。コロナ禍での収益環境の悪化で経営の厳しくなった会社は、M&Aの対象となり、競争力のある会社に買収され、その後、再生していく事例も増えています。

国内アパレル産業を支える国内繊維産業

ところで、国内で流通する洋服の多くは海外の縫製工場でつくられます。ただ、国内にはアパレル産業を支える特色のある繊維産業のサプライチェーンも残っています。例えば、岡山や広島のデニムなどの綿織物、愛媛のタオル、そのほか、ニットや毛織物など特色のある有力企業が地方にあります。保温・発熱素材、速乾性素材などの高機能繊維技術も日本の強みです。こうした技術は、国内だけでなく海外のアパレル企業などからも高い評価を得ています。

商品カテゴリー別の明確な戦略、長い間培ったアパレルのノウハウや人財提供、スキンケアなど化粧品とのシナジー

国内市場中心に展開するアパレル企業は、商品カテゴリー別の戦略を明確にして展開しています。また、長い間の事業で培ったノウハウや人財力で、業界を越えて他業界のビジネスを支援し、ソリューションを提供するところもあります。具体的には、ホテル、洋菓子店、自動車ディーラー、海外ラグジュアリーブランド、ポップアップストアなどの店舗設計や空間設計、在庫管理、そして、店舗販売員の派遣などです。特に、店舗人財の派遣は、高い接客力を持つことから各方面で好評です。

それから、スキンケアなど化粧品への展開も多くのアパレル企業でみられます。スキンケアなど化粧品は、かつては、老舗メーカーのブランドが、百貨店の1階フロアの売り場で販売していましたが、ドラッグストアでも多く販売されるようになりました。化粧品はアパレルとシナジーがあります。各アパレル企業は後発ですが、自社独自の世界観を伝えやすい商品となっています。例えば、天然素材、汗・皮脂に強い、などの特色を出し、価格を抑えて商品化しています。

ニーズを捉えれば成長余地

人口減少と高齢化で中長期的に懸念される国内消費全般ですが、国内アパレル市場は、一定のインバウンド需要と、各社の強みを生かした顧客ニーズを捉える戦略で成長余力はあると思われます。国内アパレル市場8.5兆円のなかで成長する企業に注目していきたいと思います。

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著者情報

上野 武昭
うえの たけあき
コモンズ投信運用部シニア・アナリスト
山一證券、WestLB証券、CLSA証券など国内外証券の調査部に23年間、ロイター編集局に3年間、アナリストとして在籍。証券会社とニュースメディアの視点から企業を調査。2013年6月にコモンズ投信に入社。
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