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ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”

Finasee編集部
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2025.06.24
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ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”

三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)とSBIホールディングス(HD)は6月16日、デジタルとリアルを融合した新たな個人向け資産運用コンサルティングサービスの提供に向けて戦略的業務提携を発表した。両社は7月をめどに新会社を設立し、SMBCグループが手がけるリテール向け総合金融アプリ「Olive(オリーブ)」の富裕層版ともいえる新サービス「Olive Infinite(オリーブ・インフィニット)」の提供を2026年春に始める予定だ。

カード投信積立額が月間850億円、Oliveアカウントは570万を超える

記者会見には、三井住友フィナンシャルグループ 執行役社長グループCEO 中島 達氏、SBIホールディングス 代表取締役 会長兼社長 北尾 吉孝氏のほか、三井住友カード 代表取締役 社長執行役員 CEO 大西 幸彦氏、SMBC日興証券株式会社 取締役社長CEO(代表取締役) 吉岡 秀二氏、SBI証券 代表取締役社長 髙村 正人氏が出席。

左から吉岡 秀二氏、 大西 幸彦氏、中島 達氏、北尾 吉孝氏、髙村 正人氏

記者会見の冒頭、中島氏は「Oliveのプラットフォーム、SBIグループの持つ利便性の高い最先端のネット証券サービス、そしてSMBC日興証券、三井住友銀行の持つ国内トップクラスのコンサルティング力を結集させることで、資産形成業務にまつわる幅広いニーズに対応していきたい」と説明。オンラインとリアルを融合したフレキシブルコンサルティングを提供していく考えを示した。

両グループは2020年4月に戦略的資本業務提携に関する基本合意を締結して以来、さまざまなサービスで連携を深めてきた。21年6月には三井住友カードを使ったSBI証券での投信積立サービスを開始し、足元、両グループのカード投信積立額は月間850億円、年間では1兆円に達している。「三井住友銀行における月間の投信販売額が900億円程度だが、カード積立は、たった4年で三井住友銀行が約20年間かけて築いてきた実績に匹敵する水準まで成長した」(中島氏)。

また中島氏は2023年3月にスタートしたOliveの躍進にも言及。「足元でアカウント数が570万を超え、非常に大きな成果を実現できたのは、ネット証券ナンバーワンのSBI証券の参加があったため。SMBCグループとSBIグループは今後も共に歩むべき重要なパートナーであると確信している」と両グループの成果を強調した。

新会社にはSMBCグループ、SMBC日興証券、三井住友銀行あわせて60%、SBI HDとSBI証券が計40%をそれぞれ出資する。

北尾氏は今回の資本提携について「これによって両社の強い絆がさらにより強くなっていく。双方が新しい先進的な技術をどんどんこの新会社に導入していくことになる」と戦略的価値を強調。また、金融業界の変革期にある現状について、「まさに金融の世界はトラディショナル・ファイナンス(伝統的な金融)と、デジタライズド・ファイナンス(デジタル金融)のコンバージェンス(融合)が起こっているタイミング」と位置づけ、新たな構想の一例として「ドル建てのみならず円建てのステーブルコインのサービスも提供し、ステーブルコインで米国株や日本株を買える環境を作りたい」と意気込みを語った。

 

Oliveの“最上位版”が狙うは、「デジタル富裕層」700万人

新会社が手がけるサービスの中核となるのが、Olive Infiniteだ。三井住友カードの大西氏は「単なるプレミアムカードではなく、また、単なるウェルスマネジメントサービスでもなく、Oliveだからこそ提供できるサービス。決済から資産運用まで、デジタル富裕層のニーズをフルカバーする全く新しいプレミアムサービス」と位置づけた。

同サービスには2つの柱がある。

1.インフィニットカード
・大手カード会社では初となるVISAインフィニットランクのカードを提供
・年間継続特典を最大11万円相当設定、SBI証券のカード積立 最大6%還元などの経済的価値
・最高ランクのプレミアムサービス、会員限定イベントなどの限定体験価値 

2.フレキシブルコンサルティング
・選べる相談チャネル
アプリを通じた24時間対応のAIチャット相談から有人のオンラインコンサルティング、さ らにOliveのリアル店舗での対面でのコンサルティングまで、顧客が自由に選択できる仕 組みを構築する。
・選べるコンサルタント
スキルや得意分野などから自分に合ったアドバイザーを選択可能、2回目以降、専任も選べ、変更も可能
・お金にまつわるあらゆる悩みに専門家チームがワンストップで対応

 従来の富裕層向けサービスは、専任の担当者が顧客に張り付いて電話や訪問でフルサービスを提供する形態が主流だった。しかし、大西氏は「個人の金融サービスの利用は、店舗、対面からデジタル、モバイルへと大きく変わってきており、これは若い世代だけでなく、金融資産を有する、比較的上の世代のお客様についても考え方や行動が大きく変わりつつある」と指摘。

新たなサービスが想定するターゲットは「デジタル富裕層」と呼ばれる約700万人の顧客層だ。従来のプライベートバンキング・ビジネスがターゲットとしてきた超富裕層とは異なり、日常はデジタルサービスを駆使しながらも、必要な時には質の高い対面サービスを求める40代~60代の働く世代が中心となる。大西氏は「デジタルとリアルを組み合わせることで、従来に比べて一段と充実したサービスを提供できるようになる」と説明した。

新会社は約100名規模の人員でスタートし、5年後には預かり資産10兆円、積立残高10兆円の達成を目標に掲げる。大西氏は「Oliveの圧倒的優位性と新しいコンサルティングモデルの相乗効果によって、十分達成可能」と自信を示した。

 

メガバンク各社の競争はさらに激化

新NISAのスタートが起爆剤となり資産運用サービス分野では利用者が急増するなか、メガバンクグループ各社が資産運用分野でのデジタルとリアルを融合させたさまざまな取り組みを展開している。

みずほフィナンシャルグループは2023年11月、楽天証券ホールディングスとの戦略的な資本業務提携を強化し、みずほ証券が楽天証券の株式保有比率を49.00%まで引き上げた。24年4月には共同出資で金融商品仲介(IFA)会社を設立するなど関係を強化している。また三菱UFJフィナンシャル・グループも、三菱UFJ銀行がロボアドバイザー最大手のウェルスナビを子会社化、さらに先月、2026年度中にデジタルバンクの設立を予定していると発表した。

SMBCグループとSBIグループによる一層強固なタッグによって、勢力図のダイナミックな変化がさらに加速するか注目だ。

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