finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
IFA新時代への提言と挑戦

顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる

対談特集 FPブレーン×Fan

Ma-Do編集部
Ma-Do編集部
2026.06.04
会員限定
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
貯蓄から投資への流れが加速する現在、中立的な立場から資産形成を支援するIFAの社会的役割が増している。2004年の法改正から約20年を経て、業界の現状、そして向き合うべき課題はどう変化したのか。それぞれのビジネスモデルを確立し、業界のトップランナーとして顧客本位の運営を続けてきたFPブレーン代表取締役・岩川昌樹氏とFan代表取締役・尾口紘一氏に創業の原点から経営哲学、そして業界が抱える課題と今後の展望まで率直な思いを聞いた。『Ma-Do』2026年5月号に掲載しきれなかった内容を加えた完全版をフィナシープロにてお届けする。(モデレーター 想研 専務取締役 菊池裕)

証券マンから独立 逆境を越え築いたIFAの志

――IFAとして独立、創業された経緯からお聞かせください。

岩川氏 私はもともと一成証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の証券マンでした。その後、ソニー生命に転職し、長期的な働き方を考える中で信託報酬ビジネスの存在を知り、強い興味を抱いたことから2002年に独立しました。当初のお客さまは紹介がメインでしたが、開設したホームページからの問い合わせも徐々に増えていきました。創業当時のIFAとしての収益はボランティアに近い状態で、法人保険の販売やファイナンシャルプランナー(FP)としての有料相談が経営を支えていました。当時からライフプランニングベースの中立的な提案にこだわり、無料相談は行わないという方針を貫いています。

地道な貯蓄マインドをお持ちのお客さまを支援することを軸に、お互いの考え方が合致する方を顧客化する方針を徹底しています。

尾口氏 私は学生時代から起業を志しており、新卒で日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に入社する際も将来の独立を見据えて勤務地や雇用形態を選択できるFA職を選びました。転機は2008年のリーマン・ショック。相場の急落によりお客さまに損失を与えてしまう心苦しさを感じていたころ、楽天証券が金融商品仲介ビジネスを開始することを知りました。強く興味を引かれ、FA職の早期退職募集のタイミングを機に独立。楽天証券は当時、首都圏重視の方針だったようですが、何度も地元の富山から足を運び熱意を伝えることで思いが届きました。創業当時はIFA事業と並行して、Web制作事業も行っていました。

商売の厳しさが身に染みる毎日でしたが、この時期に培ったリスティング広告やSEO(検索エンジン最適化)のスキルがオンライン集客など現在の金融マーケティングにも還元されています。

信頼を築くKPI―口座継続率、預り資産が示す真価

――経営哲学や事業内容についてはいかがですか。

岩川氏 弊社の経営哲学は従業員自らが「幸福な人生設計の見本」となること。FPとしてどんな人生を歩みたいかがテーマです。アドバイザー本人がファイナンシャル・ウェルビーイングを実現していなければお客さまに安心や幸福を提供することはできないと考えています。

提供サービスはIFA、FP業務、保険、確定拠出年金(DC)導入コンサルティングや継続投資教育です。お客さまは富裕層というよりも貯蓄マインドを持った方を意識しており、業種や年収では判断しません。年代は50代を中心に10代から80代まで幅広いですね。

尾口氏 弊社は「資産運用をあたりまえに」というビジョンを掲げ、「投資信託相談プラザ」の店舗展開とセミナー開催を通じて金融リテラシーの向上に貢献することを指針としています。

ネット証券全般の口座数は飛躍的に伸びていますが、実際は約40%が未稼働状態とも聞きます。投資の一歩を踏み出せない、あるいは継続できない方々の背中を押すことが弊社の役割。提供サービスはIFAを主軸に保険、住宅ローンの取り次ぎ(銀行代理業)、不動産など多角的に展開しており、 中心顧客は50代、60代の一般層がメインです。

――ビジネスとして目指すKPI(重要業績評価指標)は?

岩川氏 金融庁が掲げる投資信託の共通KPIを意識しており、顧客資産の運用成果のほか、口座継続率を重視しています。口座継続率は20年以上にわたり90%近くを維持しており、結果的に信託報酬のみで会社の固定費を100%賄えるコストカバー率を達成しています。 

尾口氏 弊社は預り資産額を重視しており、100億円を達成するのに8年かかりましたが、現在では5000億円を超える規模にまで成長し、一つの節目となりました(2026年3月時点)。地元の地銀にも匹敵する規模となり、社会的責任の重さを日々、痛感しています。 

――組織体制や人材採用について、現状分析や課題をお聞かせください。

岩川氏 お客さまとともに喜び合える関係を実現できているのは、長期的な視点を持ち、数々のチャンスがあっても慎重に見極めて、あえてやらないという選択を貫き、フィービジネスに徹し続けてきたからだと考えています。「お客さまと100年以上、お付き合いを続けられるか」を基準に据えれば、採用すべき人材もやるべき仕事も自ずと見えてきます。目の前のお客さまに真摯に向き合う「現場の職人」であり続けることが、変わらない使命です。

採用は「一緒に働きたい」と思える人とじっくり距離を縮め、価値観を共有した上で迎え入れる形を続けています。結果、お客さまにとって正しい行動を取ることが当たり前の環境が醸成されており、売上目標も設けていません。

尾口氏 現在全国17店舗まで拡大していますが、出店はレンタルオフィスからのスモールスタートを基本に、軌道に乗ってから店舗を構える戦略をとっています。一方で出店ペースに採用が追い付いていない面は課題です。とはいえ、やみくもに広げるつもりはなく、無理せず拡大していく方針です。

新卒採用では証券会社や銀行と競合する場面があり、自社ブランドの確立が急務だと感じています。採用市場のインフレ化やテレワークの普及など環境の変化を踏まえながら採用戦略をアップデートしていく必要があると認識しています。店舗展開と人材育成のバランスを取りながら、預り資産という信頼の証を地道に積み上げていきたいですね。

IFAの将来像は欧米型モデルへ進化 確定拠出年金(DC)支援が発展の鍵に

――今後のIFAのあるべき姿、業界発展に向けてどのような取り組みが必要でしょうか。

岩川氏 資産運用のアドバイスは、医療と同じく本来は誰に相談しても同じ答えが導き出されることが大切だと考えています。医師が一定の経験を積んでからメスを握るように、金融アドバイザーにも資格取得だけでなく、実務に基づいた均質な教育が必要ではないでしょうか。誠実であることは大前提であり、その上で高度な専門性と人間味あるコーチングを両立させることがこれからのアドバイザーの姿だと思っています。

今後の焦点は、企業型確定拠出年金(DC)の普及だと考えています。DCは国民が平等に享受すべき優れた制度ですが、まだ多くの経営者がその真価をご存じないのではないでしょうか。DCを通じて企業の従業員の皆さまの資産形成を支援し、継続的な投資教育を実践することはIFAにとって最大の社会貢献の一つです。一人ひとりのIFAがお客さまの人生における極めて重要な資産を預かっているという強い自覚を持ち続けることが最も大切だと考えます。

尾口氏 IFAの登録外務員数は現在約1万人ですが、保険業界からの参入が増えており、中でも大手保険代理店による大手ネット証券との提携の動きが進んでいます。数年以内に登録者数が1万5,000人規模へ拡大し、いずれは保険出身のアドバイザーがIFA業界の大半を占めるようになる可能性もあるでしょう。

先行する欧米のRIA(独立系投資顧問)の多くは相場予測などではなく、ラップ口座などを活用した中長期の分散投資を基本としており、バックボーンは保険出身者が多いと聞きます。日本のIFAもこのような欧米型へと近づいてきており、DCにも同様の流れがあります。欧米では現役世代の運用はロボアドやDCに任せ、出口段階からRIAが税務相談やポートフォリオの組み直しに関わるのが一般的です。日本でもDCの制度開始から25年が経ち、満期を迎える方が増えてくる今後はDCの出口支援がIFAの重要な業務になっていくでしょう。だからこそ欧米の最新動向をしっかりと把握しながら業界全体で進む道を探していくことが重要だと考えています。

顧客に伴走し感謝される喜び、社会貢献を担う責任にやりがい

――業界を取り巻く環境が変化していく中、IFAとしての社会的意義ややりがい、次世代へ贈るメッセージをお聞かせください。

岩川氏 IFAの存在意義は徹底した中立性にあります。弊社ではあらゆる手数料を開示し、お客さまにとって最善の選択肢を提示し続けることで完全中立な立場を貫いています。今後はAIなどの技術革新により、付加価値のないアドバイスは淘汰されると考えております。真に顧客の感情に寄り添うコーチングや世代を超えたウェルビーイングの提供は人間にしかできません。例えば弊社では、お客さまが経営するレストランを会場にほかのお客さまやそのご家族を交えて交流いただく会合を開催し、お金の使い方までを含めた豊かな人生を提案しています。

IFAを目指す次世代の皆さまには、まずご自身のライフプランを見つめ直すことからスタートしてほしい。近年は、20年以上の実務経験で得た知見をもとに保険代理店向けにIFA育成にも力を入れておりますが、お客さまと長期的に歩み、深く感謝されるこの仕事がIFA自身の人生をいかに豊かで意義深いものにしてくれるか、ぜひ実感してほしいと思っています。

尾口氏 既存の金融機関が店舗を削減し富裕層へ特化する中で、一般のお客さまが気軽に資産運用の相談をできる窓口としてIFAの役割は年々大きくなっています。ネット証券の普及に伴い、トラブル時のサポートやリテラシー向上のための啓蒙活動は社会的なインフラとしての側面も持ち始めており、IFAが伴走してサポートする需要はますます高まっていくでしょう。

IFAの醍醐味は証券、保険、DCなど幅広い選択肢からフラットに提案ができることにあります。近年のインフレ環境下では、資産を守り、育てるアドバイスが巡り巡って企業の賃上げや個人の生活の安定に寄与します。日本の資産所得倍増プランを支える一翼を担っているという自負を持ち、この仕事に挑戦していただけたらうれしいですね。 

 
続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #IFA
  • #証券
  • #フィデューシャリー・デューティー

この連載の記事一覧

IFA新時代への提言と挑戦

顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる

2026.06.04

おすすめの記事

IFA法人のパイオニア、GAIAが上場 中桐啓貴社長に聞く 
フィービジネスを日本で定着させるために

finasee Pro 編集部

三井住友銀行で「日経225」の人気に勢い、4月トップの「フューチャーガイド」は第6位にまで後退

finasee Pro 編集部

「支店長! お客さまとの雑談が大切とおっしゃいますが、何を話していいかわかりません。時間もありません!」

森脇 ゆき

パフォーマンスは国内「半導体株」とグローバル「バイオ関連株」が上伸=2026年6月ファンド収益率上位

finasee Pro 編集部

資金流入額2兆5949億円は今年3度目の2兆円超え、「世界株式」に全体の8割を占める約2兆円の資金流入=26年6月投信フロー

finasee Pro 編集部

SBI証券で人気株式ファンドに変化、「半導体株」から「大型ハイテク株」に移った理由は?

finasee Pro 編集部

著者情報

Ma-Do編集部
ま・どぅへんしゅうぶ
「Ma-Do(Marketing-Do)」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けた専門誌です。「資産所得倍増プラン」の旗印のもと「貯蓄から資産形成」への機運が高まる昨今、金融機関の資産運用アドバイザーの役割はますます高まっているとともに、リテールのビジネスもさらなる発展が求められています。「Ma-Do」は、投資信託を資産運用のコアとしてアドバイスを行う銀行や証券会社、IFAなどと、運用会社や保険会社をつなぐコミュニティ・メディアとして、金融リテール・ビジネスの発展をサポートする情報を発信しています。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「支店長! お客さまとの雑談が大切とおっしゃいますが、何を話していいかわかりません。時間もありません!」
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
ネクストブレイクの予感? 「モメンタムファンド」とは。なぜいま注目度が上昇しているのか
投信資金流入動向、オルカンとS&P500は2大巨頭だが…TOP10入りの中で注目したい4本の共通点とその理由
「骨太の方針・日本成長戦略」と家計の資産形成――問われる「貯蓄から投資へ」の先

「支店長! 売れ筋の投資信託を3つ覚えて売れるようになりました。全ての商品を覚える必要はありますか?」
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
マン・グループの洞察シリーズ⑲
AI投資ブーム:いずれ調整を余儀なくされる
三井住友銀行で「日経225」の人気に勢い、4月トップの「フューチャーガイド」は第6位にまで後退
「支店長! お客さまとの雑談が大切とおっしゃいますが、何を話していいかわかりません。時間もありません!」
SMBC日興証券で人気沸騰の「クロスオーバー・グロース」が新規募集停止、新たな成長期待は「半導体革命」や「成長戦略フォーカス」に
マン・グループの洞察シリーズ⑲
AI投資ブーム:いずれ調整を余儀なくされる
資金流入額2兆5949億円は今年3度目の2兆円超え、「世界株式」に全体の8割を占める約2兆円の資金流入=26年6月投信フロー
【金融風土記】一筋縄ではいかない「晴れの国」、岡山県の金融動向とは
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
パフォーマンスは国内「半導体株」とグローバル「バイオ関連株」が上伸=2026年6月ファンド収益率上位
多様な投資対象が「世界株式」への資金流入を促す、「国内株式」で際立つ強さの「半導体株」=資金流入額上位20ファンド
野村證券で「S&P500」人気が後退、「日経225」「グロース・オポチュニティ」「情報エレクトロニク」「宇宙」がランクアップ
ネクストブレイクの予感? 「モメンタムファンド」とは。なぜいま注目度が上昇しているのか
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
速さを支える足場の築き方とは――moomoo証券の行政処分から考える「顧客本位」の土台
【金融風土記】一筋縄ではいかない「晴れの国」、岡山県の金融動向とは
「支店長! お客さまとの雑談が大切とおっしゃいますが、何を話していいかわかりません。時間もありません!」
「骨太の方針・日本成長戦略」と家計の資産形成――問われる「貯蓄から投資へ」の先

政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ
デジタル時代における地方銀行の勝ち筋
- アンケートから読み解く顧客行動とAI活用の方向性 -
福岡銀行で「半導体」人気が爆発、「日本株」や「純金」の人気は後退
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら