finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
注目!チャレンジする地銀

お客さまとその家族を深く知り、寄り添い続け、総資産の増加を目指すストックビジネスへ case of 横浜銀行

Ma-Do編集部
Ma-Do編集部
2026.09.03
会員限定
お客さまとその家族を深く知り、寄り添い続け、総資産の増加を目指すストックビジネスへ case of 横浜銀行

資産運用に対する機運がかつてないほどに高まる昨今、販売会社は投資に対する顧客の理解を深め、その裾野を広げるべく、日々さまざまな取り組みを行っている。顧客本位の資産運用に対する特徴ある取り組みを行っている販売会社に注目し、その取り組みや意義について担当者に迫るシリーズ企画です。

横浜銀行などを傘下に抱える銀行持株会社、コンコルディア・フィナンシャルグループは2025年に「横浜フィナンシャルグループ」へと社名変更し、地域密着の姿勢をより明確にした。
2025年度からは新たに始まった中期経営計画のもと、さまざまな改革に取り組んできたが、中でも横浜銀行の預り資産業務の在り方は従来と大きく変わりつつある。
これまで何を変革し、今後はどこに向かうのか、2人のキーパーソンの話をもとに明らかにしたい。

                   ***

“ 地銀の雄”として、預り資産業務においても先進的な施策を次々に打ち出してきた横浜銀行。そんな同行の営業スタイルが今、急速に変わりつつあり、大きな転換点を迎えようとしている。その契機となったのが、2025年12月にポートフォリオ提案サービス「Goal Design Lab( ゴール・デザイン・ラボ)」を導入し、同サービスを用いたゴールベース・アプローチの手法を取り入れたことだ。

顧客のライフプランを踏まえ、適切なポートフォリオを提示

横浜銀行 営業戦略部 部長 隅 達也氏

2025年4月に同行営業戦略部の部長に就任した隅達也氏は、「預り資産営業の在り方を、根本から変えていきたいという想いがそもそもの始まりでした」と話す。その背景にあったのは、強い危機感だった。「顧客本位の業務運営」が問われるようになって以降、横浜銀行でも残高重視の業績評価体系に変更するなどストックビジネスの確立を目指してきたが、「営業活動が変容しつつある手応えを感じながらも、残高は伸び悩み、依然として改善余地が高いと感じていたことも否めません」と隅氏。「いわゆる『商品売り』的な手法も一部で続いていて、このままではサステナブルではないと感じていました。2025年度からちょうど新たな中期経営計画が始まったこともあり、この機会に変わらなければならないと考えたのです」

販売現場の人員が若返っている点も、改革の後押しになったという。「自分のやっていることが、本当にお客さまのためになっているのか。そんな疑問を持つ行員が、若手を中心に一部いたことも事実です。やはり成果が先にあるのではなく、あくまでお客さまに喜んでいただいた結果として、成果は後からついてくる。エンゲージメントという観点からも、そんな形への変革が必須だったと言えるでしょう」(隅氏)

同じく営業戦略部の金融資産コンサルティング室で室長を務める池野裕昭氏も、「外部環境が急激に変化した点も大きかったと考えております」と話す。かつてのゼロ金利・マイナス金利の環境下では、多くの銀行が預り資産業務に収益を期待せざるを得ず、短期的なフロー収益を追い求める傾向にあったのも事実。しかし、「金利のある世界」へと回帰した今、「預金の重要性が高まっている中で、預金と預り資産をそれぞれ単体かつ対立的に捉えるのではなく、一体となってどちらも増やす、つまりはお客さまの総資産を増やすという考え方へと切り替えていく必要があったのです」と池野氏は続ける。それがまさにストックビジネスへのシフトであり、そのための手段がゴールベース・アプローチだったわけだ。

横浜銀行 営業戦略部 金融資産コンサルティング室 室長 池野 裕昭氏

もっとも、ゴールベース・アプローチに決まった定義はなく、その考え方やスタイルも販売会社によってまちまちだ。では、横浜銀行ではどんな形を目指してきたのか。「まずはお客さまのご資産を、他行さん、他社さんの分も含めてしっかり把握し、ご意向などをヒアリングしながらライフプランを一緒に考えていくところから始めます」と隅氏。「Goal Design Labにはそのための各種シミュレーション機能がそろっていて、ライフプランに沿ったイベントを複数、設定できます。そうしたイベントに基づくゴールを実現するためのソリューションが資産運用であるなら、お客さま一人ひとりに最も適したポートフォリオを提示し、具体的な商品の提案もできる。そうした一連の流れをシームレスにツールの中で完結できるのがGoal Design Labで、当行のゴールベース・アプローチの軸になっています」

例えば、顧客の現在の収支と金融資産が、将来のライフイベントを踏まえてどう推移していくのかをシミュレーションする。そのうえで、インフレ率なども加味して資産の寿命を延ばすためにはどのくらいの金額を、どのくらいの時間をかけて運用し、取り崩していくべきかを決める。そこから逆算して最も適切なポートフォリオを選択し、投資信託の組み合わせを選ぶという流れになるわけだ。

もちろん、ゴールの設定、提案で終わりではなく、ゴールを達成するまでの進捗も示すことができる。販売担当者はそれに基づいて顧客を定期的にフォローし、必要があれば商品のリバランスを行う。併せてライフプランに変更がないかもヒアリングし、時にはゴールを設定し直すこともある。フォローの頻度自体も、四半期に1回や半年に1回など、年1回以上であれば顧客に応じて自由に設定でき、たとえ販売担当者が異動したとしても、適切に引き継げる仕組みも備わっているという。

出口は資産運用だけではない、多様な提案を可能にするツール

さらにもう1つ、このGoal Design Labの大きな特徴は、出口となるソリューションが資産運用に限られていない点にもある。「ゴールベース・アプローチに用いるツールというと、ファンドラップや特定の投資信託に紐づいているものが多いものの、それは私たちが目指す姿とは異なっていました」と池野氏。「まずはお客さまとそのご家族をしっかり理解し、収支や全てのご資産、ライフイベントなどを把握したうえで一緒に課題を解決していく。そのためのソリューションが資産運用ではないケースも当然あり、保険であったり遺言信託であったり、税理士などの外部の専門家の紹介であったりもするわけです。だからこそ最も重視したのは、ライフプランニングを起点にお客さまの人生に寄り添いながら、多様なソリューションの提案ができるという点でした」

そこで既存のツールを採用するのではなく、フィンテック企業のMILIZEと共同で開発するという選択をし、Goal Design Labが誕生することになる。「お客さまに直接お見せするもので、当行の営業担当者にとっても営業スタイルを変えるための重要なツールなわけですから、たとえ時間はかかっても、その機能には徹底的にこだわる必要がありました」と隅氏も強調する。結果として、当初は2025年10月スタートの予定が12月にまでずれ込むことになったそうだが、それも妥協することなく、理想を追求したからなのだろう。

2026年1月には、横浜銀行を傘下に抱える横浜フィナンシャルグループがMILIZEの株式を取得し、同社を持分法適用関連会社とした。関係はより密になったわけで、現場の声なども取り入れながら、Goal Design Labはさらに進化を続けていくことになるはずだ。

横浜銀行などを傘下に抱える銀行持株会社、コンコルディア・フィナンシャルグループは2025年に「横浜フィナンシャルグループ」へと社名変更し、地域密着の姿勢をより明確にした。
2025年度からは新たに始まった中期経営計画のもと、さまざまな改革に取り組んできたが、中でも横浜銀行の預り資産業務の在り方は従来と大きく変わりつつある。
これまで何を変革し、今後はどこに向かうのか、2人のキーパーソンの話をもとに明らかにしたい。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
次のページ 課長職全員参加の合宿研修、役職の新設……異例尽くしの施策の成果は?
1 2

関連キーワード

  • #地銀
  • #フィデューシャリー・デューティー
  • #投資信託
前の記事
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
2026.06.09

この連載の記事一覧

注目!チャレンジする地銀

お客さまとその家族を深く知り、寄り添い続け、総資産の増加を目指すストックビジネスへ case of 横浜銀行

2026.09.03

顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ

2026.06.09

「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ

2026.03.04

ふくおかフィナンシャルグループは「資産形成と決済」で日常と未来に寄り添う次のステージへ
~「投信のパレット」7000億円突破と新サービス「vary」

2026.02.17

経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行

2025.12.05

「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行

2025.09.03

「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ

2025.06.09

「投信のパレット」の進化形でコンサルティングのさらなる高度化へ case of ふくおかフィナンシャルグループ

2025.03.13

「リターンの提供」に徹底的にこだわりつつ
法個一体で対面の付加価値も高めていく

2024.12.12

わずか2カ月強で協定締結を実現!
常陽銀行が始めた「5金融機関と教育委員会」との金融教育

2024.11.26

おすすめの記事

浜銀TT証券の売れ筋に大きな変化、「WCM」がトップを取り、「AB米国成長株投信」が3カ月ぶりランクイン

Finasee編集部

SMBC日興証券で「世界のベスト」がトップに浮上、「日経225」人気が衰えてアクティブファンドの出番

Finasee編集部

人気アクティブファンドの強さを決めるものとは?「ネクスト・ジェネレーション」運用元のWCM等が持つ“意外な要素”とは

Finasee編集部

「顧客そっちのけ」の乗り換え営業からの転換点とは?「今では考えられない状況」から投信350兆円時代までを振り返る

Finasee編集部

ファンドアナリスト海老澤 界が2026年第1四半期を振り返る~投資信託の今と、これから

Finasee編集部

著者情報

Ma-Do編集部
ま・どぅへんしゅうぶ
「Ma-Do(Marketing-Do)」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けた専門誌です。「資産所得倍増プラン」の旗印のもと「貯蓄から資産形成」への機運が高まる昨今、金融機関の資産運用アドバイザーの役割はますます高まっているとともに、リテールのビジネスもさらなる発展が求められています。「Ma-Do」は、投資信託を資産運用のコアとしてアドバイスを行う銀行や証券会社、IFAなどと、運用会社や保険会社をつなぐコミュニティ・メディアとして、金融リテール・ビジネスの発展をサポートする情報を発信しています。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【みさき透】今泉宣親・金融庁銀行第二課長インタビュー
投信ビジネスで培った信頼は預金の粘着性につながる
役割別ファンドラインナップ整備の勧め
~定量データで考える「ファンドの役割」とグローバル株式ファンドの具体例~
野村證券の9月ランキングで「日経225」が首位奪還、「AB米国成長株」が半年ぶりに復活
歴史的な金利上昇局面で「オルカン」「S&P500」が盤石な理由は? SBI証券の売れ筋でにわかにランクアップした「ゴールドファンド」
【独自】世界の要人が参加「ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム」、来年11月に東京で初開催へ
三菱UFJ銀行の9月ランキングで「ウェルス・インサイト(標準型)」がトップ維持、「世界のベスト」が急浮上
三井住友銀行で一番人気の「日経225」は株安局面でも人気継続、「ゴールド」も復調気配
米国経済Deep Insight 第19回
変わるウォーシュFRBの市場対話

「下山」はもっと難しい――資産を生活へ変えるための最適解を考える
金利上昇で“確実性のある利回り”がみずほ銀行の投信の主役に、非M7型テクノロジー株ファンドも急浮上
【みさき透】今泉宣親・金融庁銀行第二課長インタビュー
投信ビジネスで培った信頼は預金の粘着性につながる
三菱UFJ銀行の9月ランキングで「ウェルス・インサイト(標準型)」がトップ維持、「世界のベスト」が急浮上
役割別ファンドラインナップ整備の勧め
~定量データで考える「ファンドの役割」とグローバル株式ファンドの具体例~
【独自】世界の要人が参加「ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム」、来年11月に東京で初開催へ
野村證券の9月ランキングで「日経225」が首位奪還、「AB米国成長株」が半年ぶりに復活
金利上昇で“確実性のある利回り”がみずほ銀行の投信の主役に、非M7型テクノロジー株ファンドも急浮上
「下山」はもっと難しい――資産を生活へ変えるための最適解を考える
歴史的な金利上昇局面で「オルカン」「S&P500」が盤石な理由は? SBI証券の売れ筋でにわかにランクアップした「ゴールドファンド」
J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点
みずほ銀行で「キャピタル世界株式」がトップに、想定最終利回り約2.7%の「グローバル債券ファンド」も人気化
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第21回:“106万円の壁”撤廃の影響を受けるセクターとは
「支店長!お客さまが迷惑そうなので、電話をしたくありません!」
【第3回】オルタナティブ資産ファンドは何を見て選ぶのか
「過去の実績上位」だけに頼らない投資信託の提案アプローチ ~10年間のデータが示すファンド成績の入れ替わりと販売現場で役立つ活用ポイント~
J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点
“霞が関文学”で読み解く金融界② 仕組債販売ルール指針案と「文脈検査の拡張」
【みさき透】今泉宣親・金融庁銀行第二課長インタビュー
投信ビジネスで培った信頼は預金の粘着性につながる
【有識者対談】“正念場”の保険業界に学ぶ「顧客本位のビジネスモデル」の持続性(前編)
みずほ銀行で「キャピタル世界株式」がトップに、想定最終利回り約2.7%の「グローバル債券ファンド」も人気化
「家計の見える化」が拓く新たな地平――74項目のデータを実務の叡智に変えるために
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら