7月30日に米投資信託協会(ICI)が2026年6月の投信市場データを公表しました。4-6月期の株式市場は、米国とイランの停戦合意などから3月に急騰した原油価格も下落に転じ、インフレや景気への警戒感が後退したことで、大幅な上昇に転じました。米国の主要株価指数では、NYダウ平均株価が12.9%の上昇、S&P500指数が14.9%、ナスダック総合指数は21.4%と、いずれも2ケタを超える上昇率となっています。以下、金融市場が落ち着きを取り戻し、株価が急回復した4-6月期における米ミューチュアルファンドとETFの資金動向を確認していきたいと思います。
長期投資信託からの資金流出 ETF への資金流入が継続
6月末時点の長期投資信託(MMFを除くミューチュアルファンド)の残高は25.3兆ドルと3月末の23.0兆円から10.0%増加するとともに、四半期ベースで過去最高を記録した2025年12月末の23.6兆ドルを大きく上回りました。引き続き株式ファンドが大半を占めていますが、株式相場が2ケタの上昇率となる中で、増加率は限定的となりました。実際に資金流出入を見ると、4-6月期は-2296億ドルと19四半期連続の資金流出となっており、過去最高残高を更新したといっても、長期投資信託からの資金流出トレンドに変化はないと言えそうです。
一方で、ETFの残高は、6月末時点で15.7兆ドルと3月末の13.6兆ドルから15.9%増加し、11四半期連続で過去最高を更新しました。株式相場の上昇に加えて、好調な資金フローが残高増加を後押ししています。4-6月期のETFの資金フロー(ETFの場合は、Net Issuanceのデータを使用)は+5440億ドルと、2025年10-12月に記録した過去最高となる+5593億ドルに迫る高水準となりました。ETFへの資金流入は、2009年1-3月期の金融危機後に小幅なマイナスを記録して以来、69四半期(17年超)にわたって資金流入が続いていることになります。図1でも、長期投資信託の資金流出額を超える資金流入額が続いており、米ミューチュアルファンドの不振をETFがカバーしている構図が確認できます。
株価急騰の中、株式ETF への資金流入が加速
続いて、資金流入が続くETFについて、その内訳を詳しく見ていきましょう。4-6月期の資金流入額は過去最高に迫る+5440億ドルとなりましたが、資産クラス別にみると、株式ETFが+3923億ドルと全体の4分の3程度を占めています。この資金流入額も過去最高水準となった2025年10-12月期の+4021億ドルに迫っており、株式相場が急騰する中で、投資家のリスクテイクの動きが強まったものと言えそうです。
一方、債券ETFは4-6月期に+1511億ドルと前四半期の+1749億ドルから若干減速したものの、高水準の資金流入が続いています。図2を見ても、この2年ほどの資金フローにおける債券ETFの存在感が高まっており、ポートフォリオにおける債券ETFの活用の動きが広がっているものと考えられます。なお、コモディティ型は金ETFの人気によって資金流入が続いていましたが、年初からの金相場の値下がりなどもあり、9四半期ぶりの資金流出に転じました。この点も米ETF投資家の順張りの動きを示していると言えそうです。
アクティブETFの残高は2兆ドルに迫る
ここまで資産クラスの詳細を確認してきましたが、最後に運用手法別(アクティブETFとインデックスETF)の資金動向を見ていきます。アクティブETFとは、特定の株価指数(インデックス)に連動した投資成果を目指すインデックスETFと異なり、ファンドマネジャーがベンチマークを上回る投資成果を目指すアクティブ運用を行うETFを指します。日本でも2023年に解禁されて話題となりましたが、米欧におけるアクティブETFの市場拡大には目を見張るものがあります。とりわけ米ETF市場におけるアクティブETFは足元で急拡大しています。
まず、ETFの運用手法別の残高ですが、コモディティ型を除く米ETFの残高15.4兆ドルのうち、インデックスETFが13.5兆ドル、アクティブETFは1.9兆ドルとなっています。アクティブETFの比率は全体の12.5%にとどまっていますが、1年前(2025年6月末)のアクティブETFの残高は初めて1兆ドルを超えたばかりで、その時の比率は9.7%と1割弱という状況でした。もともと、ETFが指数連動型を中心に発展した経緯もあるため、アクティブETFの成長は今後さらに加速していくことが予想されます。
ETFの運用手法別の本数で見ると、アクティブETFの増加はさらに鮮明です。アクティブETFの本数は1年前に初めてインデックスETFを上回りましたが、その後も急増を続けており、2026年6月末時点で2856本と、インデックスETFの2066本を大きく上回っています。取引時間中に売買ができる利便性などからアクティブETFに対する投資家の需要が強まる中で、同じファンドがミーチュアルファンドとETFの両方にシェアクラスを提供できるといった規制緩和が行われたことも背景にあるようです。また、6月末時点における1本あたりのアクティブETFの残高は6.7億ドルと過去最高に達しており、こちらも1年前の5.6億ドルから大きく増加しています。つまり、アクティブETFの運用本数が急増しているといっても、やみくもに設定されているというわけではないことです。このように、投資家にとっての利便性だけでなく、運用会社にとっての収益性も両立されているというところに米国の資産運用業界の強さがあると思われます。




