2月の投資信託市場(ETFを除く追加型株式投信)への資金流入額は月間で+1.7兆円と、過去最高を大きく更新した1月の+2.8兆円から減速したものの、堅調な資金フローが継続しました。通常、1月はNISAの年間投資枠が暦年でリセットされることから資金流入額が膨らむ傾向にあるため、2月の+1.7兆円も十分に高水準の流入額と言えます。資産クラス別にみると、引き続き外国株式型ファンドに資金流入が集中しており、1月は+1.8兆円、2月は+1.1兆円となっています。ただし、昨年1月は投資信託全体で+2.2兆円の資金流入額のうち、外国株式型ファンド+2兆円に迫っていたため、足元で投資家はやや資金を分散させる動きを示していると見られます。具体的には、金(ゴールド)に投資するファンドや、バランス型ファンドにより多くの資金が向かっていることが確認できます。
また、外国株式型ファンドの内訳をみると、引き続きグローバル株式や米国株式に投資する株式ファンドを中心に高水準の資金流入が見られますが、グローバルと米国への資金フローの動向が少し変わってきたようです。世界経済の不透明感が高まり、米テクノロジー株の値動きが不安定となる中で、米国株ファンドへの資金流入が減速傾向が見られます。新NISAがスタートした2024年は、米国株ファンドの資金流入が+6.6兆円だったのに対し、グローバル株ファンドは+4.9兆円にとどまっていました。2025年は4月までは米国株ファンドへの資金流入がグローバル株ファンドを上回っていましたが、その後は10カ月連続でグローバル株ファンドの資金流入額が米国株ファンドを上回っています。とりわけ、2026年に入ってグローバル株ファンドへの資金シフトがより顕著になっていることがグラフからも確認できるでしょう。グローバル株ファンドにおける地域配分で米国の次に欧州が大きいケースが多いことを勘案すれば、緩やかながらも米国から欧州への資金シフトが起きているとも言えそうです。今年1月には米国を除くグローバル株式に投資するファンドが2本新たに設定されていますが、これも欧州株へのアロケーションを通じた地域分散を期待する動きと考えられます。
外国株式型ファンド全体で見れば欧州株へのアロケーションが増えていると言えますが、欧州株ファンドに限って見れば、資金流入は限定的です。次のグラフに示したように、2月の欧州株ファンドの資金流入額は+46億円と13カ月連続の資金流入を記録したものの、1月の+101億円から減速しました。それでも、欧州株ファンドの残高は2月末時点で4300億円を超え、2015年12月以来10年超ぶりの高水準となっており、2月にも欧州株ファンド2本が新規設定されるなど、欧州株ファンドへの関心は引き続き強いようです。
なお、冒頭で指摘したように1月に資金流入額が増加する傾向にあるのは、NISAの年間投資枠が暦年でリセットされることが大きな理由となっています。とりわけ、つみたて投資枠の対象商品は1月の資金流入額が増加しているケースが多く、S&P500やMSCI全世界株式(ACWI)といった指数を対象としたインデックスファンドへの資金流入が目立っていました。このつみたて投資枠における指定株式指数ですが、昨年末に明らかになった与党の「令和8年度税制改正大綱」によれば、欧州株式の指数が単独で使用可能になるなど、いくつかの制度拡充も盛り込まれています。つみたて投資枠の対象年齢を撤廃する「こどもNISA」の創設は大きく報じられている通りですが、この対象商品の拡充は米国株からの地域分散をさらに促進する可能性を秘めています。具体的には、これまで他の指数との組み合わせでのみ活用できた欧州やアジア・太平洋地域の株式指数(下図の青枠内)に単独で連動する商品がつみたて投資枠で投資可能になることが見込まれています。欧州株のパフォーマンスが重要であることは言うまでもありませんが、こうした制度の拡充によって欧州株ファンドなどの品揃えが増え、投資家のポートフォリオの選択肢が広がることが期待されます。

