1月29日に米投資信託協会(ICI)が2025年12月の投信市場データを公表し、速報値ベースではありますが、2025年の米投信資金動向が出そろいました。2025年の米国株式相場は、NYダウ平均株価が13.0%の上昇、S&P500指数が16.4%、ナスダック総合指数は20.4%といずれも2ケタの上昇となっており、2023年、2024年に続いて米投信市場にとって良好な投資環境が継続しました。今回の連載では、2025年の米ミューチュアルファンドや上場投資信託(ETF)の資金動向から米投資家のスタンスを確認していきたいと思います。
ミューチュアルファンドは最高残高更新
資金流入は債券型とMMFのみ
2025年末時点のミューチュアルファンドの残高は31.4兆ドルと、2024年末から+2.8兆ドル(+9.9%)と3年連続で増加し、過去最高残高を更新しています。ただし、この残高増加は株式相場の上昇による部分が大きく、資金フローではミューチュアルファンド全体で-5400億ドルと3年ぶりのマイナスに転じました。図1に示した分類別でみると、MMFが+6800億ドル、次いで債券型が+1100億ドルの資金流入となり、2024年に続いてMMFが最大の資金流入を記録しました。一方で、米国株式型と国際株式型、バランス型は数年にわたってマイナスが継続しています。MMFを除くミューチュアルファンドを長期投資信託と呼びますが、これに限れば8年連続のマイナスとなるなど資金流出トレンドは変わっていません。ミューチュアルファンド残高の4割程度(長期投資信託の5割超)を占める米国株式型については、年間の資金流出額が初めて1兆ドルを超えるなど、米株高が進む中で利益確定売りが強まっていたようです。
米ETFは1.5兆ドルの資金流入で残高は13兆ドル到達
ミューチュアルファンドからの資金流出が続く一方で、それを補っているのが上場投資信託(ETF)です。2025年末時点の米ETFの残高を見ると、前年末比+28.2%の13.3兆ドルと増加ピッチは衰えていません。
図2で長期投資信託の残高と比較すると、すでに長期投資信託の残高(23.6兆ドル)の6割近くに迫るなど、長期投資信託との残高の差が縮小していることが確認できます。ETFと長期投資信託の資金流出入(ETFの場合は、Net Issuanceのデータを使用)を見ると、長期投資信託が2025年に-1.2兆ドルの資金流出となる一方で、ETFは+1.5兆ドルの資金流入と対照的な動きとなっています。なお、米長期投資信託からの資金流出額も過去最大ですが、米ETFへの資金流入額も年次で過去最大です。米国株式型を中心にミューチュアルファンドを保有してきた米ベビーブーマーによる資産の取り崩しという面もあると思われますが、より利便性が高く、コスト面で優位性のあるETFが活用される動きが強まっていると考えられます。
米ETF でも債券型の存在感高まる
ミューチュアルファンドの資金動向では、MMFと債券型だけが資金流入になったと指摘しましたが、米ETFにおける資産クラス別の動向はどのようになっているのでしょうか。図3は、米ETFの分類別の資金流出入の推移を示したものです。2025年の資金流入額1.5兆ドルのうち、およそ9600億ドルは株式型に向かっていますが、債券型がその次に大きく4400億ドルとなっています。
日本の投資信託市場、日本のETF市場では株式型への資金流入が圧倒的に大きいですが、米国ではミューチュアルファンドでもETFでも債券型の存在感が高まっている状況です。また、米ETF市場でも金ETFの人気が高まっており、コモディティ型も過去最高の資金流入額となっています。この点は、日本の投資信託市場でも同様の動きが見られます。
なお、ミューチュアルファンドの統計には、機関投資家向けとリテール向けに分かれたデータもありますが、債券ファンドやMMFへの資金流入は主に機関投資家向けのシェアクラスで見られるトレンドとなっているようです。機関投資家だけで見れば、MMFへの資金流入も2024年から加速しています。世界経済の不透明感が増す中で、米国債利回りや米短期金利がある程度高止まった環境が続いており、2025年に米機関投資家が債券やMMFに資金を振り向ける動きを強めたことは、改めて認識しておく必要がありそうです。

