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解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.04.28
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解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点

プルデンシャル生命保険は22日、金銭の不正なやり取りなど一連の不祥事発覚を受けた自粛期間の180日間延長を発表しました。同日に開いた記者会見では得丸博充社長らが、「解約が高止まり」にあるという同社の状況を明かした上で、信頼回復に向けた施策の進捗状況と今後の方針を説明。新規契約偏重からアフターフォロー重視へ評価体系の見直し、AIによる不正検知の導入、経営・本社機構の改革に焦点を当て、会見での注目発言を整理します。

保全の評価比率を数%→約20%に

プルデンシャル生命は2月9日以降、新規契約の販売活動を自粛しています。当初は90日間(5月9日まで)の予定でしたが、さらに180日間を加え、11月5日まで自粛を延長することを決定しました。不祥事発覚後に新経営陣が原因分析に取り組んできた結果、明らかになった本社機構や支社体制における「本質的な課題」を踏まえ、「抜本的な構造改革」を実施するためだと説明しています。

22日の記者会見では、同社の得丸博充社長らが出席し、報酬・評価制度や行動管理の見直し、意思決定と責任のありかを明確にする経営・本社機構の改革について、これまでの取り組みの進捗や今後の方向性を説明しました。

 

評価体系については「新契約業績に強く連動した現行の営業報酬制度を抜本的に見直し、基本保証給の導入による報酬の安定化や、長期継続率・コンプライアンス要素を勘案して長期的なアフターサービスの比重を引き上げる、新しい営業社員の報酬制度の基本設計」を行ったとしています。

これについて秋山泰宏副社長は「自己募集の契約、もしくは引き継いだ契約を含めて、保全サービスをしている人間については、そこの部分の報酬・対価をきちんと払いたい。全体としては今の数%という水準から2桁、できれば20%前後ぐらいのアロケーションにしたい。それによって、長期間のお客様との関係構築、サービスの向上に繋げていきたい」と話しました。

 

得丸社長は「世の中、営業では2・6・2の法則があるとよく言われるが、上位のメンバーがプルデンシャル生命の営業の中心になっていたのは確かだ」とした上で、「長期にわたってアフターフォローをしていただくことで総報酬として増える仕組みを作りたいと考えている。しっかりと長きにわたってプルデンシャル生命で活躍していただけるライフプランナーが、相対的にはしっかりと残るのではないかと思う。2・6・2の「6」のライフプランナーの生産性の向上、退職率の改善にも繋がると思っている。ライフプランナーの数は減るかもしれないが、プルデンシャル生命の売上、生命保険のご提供については、しっかり構築できる体制を作っていきたい」と述べました。

 

商談録音×AIで不正検知を検討

同社はこれまでの調査で、不正事案の背景の一つに、担当者と顧客のやり取りの密室化があったと分析。これを踏まえ、行動管理の仕組みの強化を進めています。

この点について得丸社長は会見で、AIを活用した不正検知の仕組み作りの検討状況を次のように明かしました。

「今スタートしようと思っているのが、お客様との商談の記録を録音することだ。これをAIとセットにすれば、例えば1時間の商談であってもサマライズ(要約)し、行動の面談記録として残すことができると思っている。仮に不適切な発言があれば、これまでの不適切な事象を学習させれば、フラグを立たせることができる。加えて、商談の中にお客様の生年月日やご家族の情報がしっかりと録音されていれば、AIエージェントのようなものを活用し、ライフプランナーにどのタイミングでお客様にコンタクトを取ったら良いかをアドバイスできるようになる。可視化によって顧客体験価値の向上にも繋がる」

 

経営陣の役割・責任明確化

経営・本社機構の構造改革については、「レポーティングラインや意思決定プロセスの複雑さや権限移譲の曖昧さにより、全社視点での戦略的・統制的意思決定の実効性が低下していた」との反省を踏まえ、「意思決定と責任の所在を明確にするための改革に着手」すると説明。延長した自粛期間中に、役員の役割と権限を整理し、長期的には、戦略起点で役割と権限が明確な機能ベースの組織体制に移行するといった方針を打ち出しています。

これに関して得丸社長は、「現状、39名の執行役員がおり、階層もかなり重層化している。通常の執行権限の範囲が非常に狭く、どちらかというとサイロ化されているという課題がある。世の中の変化に対して改革を行うには、通常であれば会社横断的、統制的に考えながら意思決定をしていくということが非常に重要だが、自分の執行範囲の中でしか考えられなかったという問題があると思う」と説明。「今のプルデンシャル生命にあるべき役割というものは執行役員体制の中で何なのか、CxOという考え方であれば『x』のところにどういった組織を入れていくのかという観点で、組織・機能に対してしっかりと適切な人材を配置していくことを、早急に実行していきたい」と話しました。

 

また、会見で得丸社長は金融庁の立ち入りに言及し「検査については現在、真摯に対応している。ご依頼について、我々の中で体制整備をしてご回答し、資料の提供などをしている状況だ」と説明しました。金融庁とのやり取りと並行して構造改革を進めるプルデンシャル生命の取り組みは今後、さまざまな業界で、顧客本位の態勢構築における一つのベンチマークとして位置付けられることになるかもしれません。

 

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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