finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例

【第2回】製販情報連携の枠組みと実務

宮崎忠夫
宮崎忠夫
三井住友DSアセットマネジメント商品・アドミニストレーション部門プロダクトガバナンス担当
2026.01.06
会員限定
【第2回】製販情報連携の枠組みと実務

1. 第1回の振り返りと第2回のテーマ

皆様、こんにちは。三井住友DSアセットマネジメント株式会社の宮崎忠夫です。前回は、資産運用立国実現プランや金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂を背景に、運用会社・販売会社間の情報連携がなぜ重要なのかを整理しました。

第2回となる本稿では、実際にどのような枠組みで情報連携を進めるのか、どんなデータがやり取りされるのか、実務の観点から解説します。

2. 製販情報連携の枠組み 

情報連携の対象ファンド

情報連携は、想定顧客が限られるファンドに絞って実施されます。具体的には、以下の8類型が対象です。

☑拡大画像

なぜ一般的に販売している毎月分配型が対象になるのか?と疑問を持つ販売担当者の方も多いのではないでしょうか。

毎月分配型は、複利による長期での運用効果が低く、NISA制度が安定的な資産形成を目的とするものであることを踏まえ、2024年1月から始まったNISAの成長投資枠の対象となっていません。このように、毎月分配型は毎月の安定的なキャッシュアウトを求める顧客には適した商品かもしれませんが、資産形成を行う際の投資対象商品としては適切性に留意が必要と考えられます。

一方、毎月分配型ファンドの保有者の年代構成比を見ると、20~40代の資産形成層が半数近くを占めている状態です。このことから、販売会社・運用会社の両者で実際に商品を購入した顧客の属性と想定顧客属性の合致・乖離の状況を検証する必要性があると判断されました。

 


対象ファンドの割合
2025年1月時点の純資産総額ベースで、公募投資信託の約11%が情報連携の対象となっています。
 

情報連携の流れ

STEP1 :運用会社→販売会社
対象ファンドをリスト化し、投資信託協会を通じて連絡

STEP2,3:販売会社→運用会社
販売データ等に顧客の属性情報を付加し統計処理し、連携

STEP4,5:運用会社→販売会社
データを分析し、フィードバック資料を作成し、連携

STEP2,3の連携手段は、当初メールを原則として、将来的には所謂「公販ネットワーク」を活用していく方針でした。しかしシステムベンダー各社のご尽力により、第1回の情報連携(2025年4月~6月のデータを2025年12月末までに連携)から、一部で「公販ネットワーク」の活用が開始されています。

「公販ネットワーク」の活用によりセキュリティの面での向上が期待できる一方、メールでの情報連携と「公販ネットワーク」の情報連携で販売データのフォーマットが異なる等の理由で販売会社・運用会社の双方にご不便をおかけしているため、早急に解消を図るべく関係者で協議している状況です。
 

顧客属性の区分と想定顧客

①顧客属性の区分☑拡大画像

販売会社によって「顧客カード」の各項目内の情報が異なるため、上記の統一した区分に再分類する必要が生じました。その上で「設定」「解約」「残高」の各取引(残高)について、年代(7種類)、保有資産(4種類)、投資目的(3種類)で場合分けした7×4×3=84に「法人」を加えた85パターンのいずれかに分類して集計します。

3項目以外にも、例えば①販売経路が店頭(勧誘)なのかオンライン(非勧誘)なのか、②投資経験の有無、③年収、等も項目の一つにすることも検討しましたが、すべての販売会社からデータ取得することは困難であるため、対象外としました。

②想定顧客属性

☑拡大画像

顧客属性の区分をベースに、上記のような想定顧客属性を表す「想定顧客プレート」を定義しました。このプレートは情報連携対象の8類型毎に商品(ファンド)毎のリスク水準(高・中・低の3段階)を加味したうえで作成しています。青色を「最も想定する顧客」とし、水色、クリーム色になるにつれて離れていくイメージです。

ここで留意が必要なのは、想定顧客プレートは、運用会社が顧客としての適格性を有すると考える想定顧客属性を示すものであって、販売会社における適合性の検証を目的とするものではないということです。つまり、

■「クリーム色」の顧客に販売してはいけない
■「青色」の顧客であれば他の条件に関係なく販売してよい

というわけではない点です。

上記例でいえば、「クリーム色」の20代の方であっても、何らかの理由で毎月一定の資金ニーズがあり、かつ適合性が満たされているのであれば、毎月分配型を販売不可にする必要はありません。逆に「青色」の60代の方でも、安定的な資産形成のニーズであるのであれば、毎月分配型を推奨することは望ましくないと考えられます。

3. まとめ

本稿では、運用会社と販売会社間の情報連携の枠組みや実務について解説しました。対象ファンドは毎月分配型を含む特定の8類型に限定され、販売データ等に顧客の属性情報を付加し統計処理したうえで、販売会社から運用会社に連携します。足元ではデータフォーマットの統一が課題です。

次回は、実際の事例や現場で判明した課題、運用会社から販売会社へのフィードバック内容や今後の展望についてご紹介します。
本稿が、皆様の実務や理解の一助となれば幸いです。

 

1. 第1回の振り返りと第2回のテーマ

皆様、こんにちは。三井住友DSアセットマネジメント株式会社の宮崎忠夫です。前回は、資産運用立国実現プランや金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂を背景に、運用会社・販売会社間の情報連携がなぜ重要なのかを整理しました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #投資信託
  • #金融庁
  • #金融リテラシー
前の記事
新連載/プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
【第1回】プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性
2025.11.05

この連載の記事一覧

プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例

【第2回】製販情報連携の枠組みと実務

2026.01.06

新連載/プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
【第1回】プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性

2025.11.05

おすすめの記事

投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング 
銀行、証券会社以外の選択肢とは?【IFA編】

Finasee編集部

【ネット証券&対面証券72社編】投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング

Finasee編集部

個人投資家の力で日本企業を変える──
マネックス・アクティビスト・ファンド、設立5周年
松本大氏が魅力を語る

finasee Pro 編集部

まだ誰も見つけていない“スター候補”企業に投資できる―今、あらためて投資の醍醐味を提示する「クロスオーバー投資」とは

Finasee編集部

1位は「シティグループ米ドル社債/欧米マルチアセット戦略ファンド2024-12」! 債券持ち切り型運用に迷い?(24年12月の外債ファンド)

finasee Pro 編集部

著者情報

宮崎忠夫
みやざきただお
三井住友DSアセットマネジメント商品・アドミニストレーション部門プロダクトガバナンス担当
1990年太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)入行、為替資金部、市場運用部等を歴任。2001年三井住友銀行、市場営業統括部、市場資金部等を歴任。為替、外貨資金、円資金、起債、市場企画と市場部門において幅広い業務に携わる。 2007年大和住銀投信投資顧問(現三井住友DSアセットマネジメント)、DC・VA推進室、投信サービス部長、商品第一部長兼再委託室長等を歴任。2019年三井住友DSアセットマネジメント、商品戦略(企画)部長。運用会社では主に投資信託の組成・マーケティング等の業務に携わる。現在、プロダクトガバナンス担当として関連各部と協同で業務を遂行。2024年投資信託協会「プロダクトガバナンスの実効性確保に向けた検討部会」の部会長。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
マン・グループの洞察シリーズ⑰
生産性のパラドックス:AIはいつ成果をもたらすのか?
高市色強まる資産運用立国政策、成長戦略会議内でアセットオーナーに積極的リスクテイクを求める声
高市政権が掲げる日本経済再生のマクロ戦略の内実とは? 高市政権ブレーンの会田卓司氏が解説
事業会社から最も評価が高い運用会社はどこか?Extel社の調査結果に見る日本市場の「360度評価」
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
SBI証券の売れ筋にみえる米大型ハイテク株相場再来への期待、「FANG+」や「S&P500」の人気復調
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
マン・グループの洞察シリーズ⑰
生産性のパラドックス:AIはいつ成果をもたらすのか?
SBI証券の売れ筋にみえる米大型ハイテク株相場再来への期待、「FANG+」や「S&P500」の人気復調
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
米国の年金でも浸透する暗号資産 ブロックチェーン技術が投資にもたらす可能性とは?
高市政権が掲げる日本経済再生のマクロ戦略の内実とは? 高市政権ブレーンの会田卓司氏が解説
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
マネックス証券で国内株インデックスファンドがランクアップ、「世界のベスト」はタイムリーな情報発信も評価
高市色強まる資産運用立国政策、成長戦略会議内でアセットオーナーに積極的リスクテイクを求める声
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第18回:40年ぶりの運賃区分統合実施!JR東日本の運賃改定が各セクターに及ぼす影響は?
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
広島銀行の売れ筋トップを独走する「ポラリス」と第2位を継続する「世界経済インデックスファンド」の魅力
事業会社から最も評価が高い運用会社はどこか?Extel社の調査結果に見る日本市場の「360度評価」
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
野村證券の人気ファンドは高リターンにシフト、「のむラップ・ファンド」がトップ10から消える
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
SBI証券で売れ筋上位は変わらず、イラン紛争の長期化懸念でアクティブファンドにも出番
長期金利の急上昇が話題になった日本国債発行体である財務省国債企画課は市場をどう見ているのか【前編】
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら