finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
岩本健已の志高く腰低く声明るく

1万円札の肖像は「会計の偉人」の指定席に?
~簿記を重視した福沢諭吉先生と渋沢栄一翁~

岩本 健已
岩本 健已
株式会社想研 執行役員
2024.07.11
会員限定
1万円札の肖像は「会計の偉人」の指定席に?<br />~簿記を重視した福沢諭吉先生と渋沢栄一翁~

私は昨年11月より、フィナシープロご利用の皆さまに向けたメールマガジンで、「私の金融経済実録史」と題するコラムを25回にわたってお届けいたしました。その後、少し間が空きましたが、本年2月から5月まで、「『志』高く『腰』低く『声』明るく」と銘打ち、皆さまにコラムをお送りしてきました。

今回からは、メールマガジンではなくフィナシープロの本サイトに月2回(第2、第4木曜日)コラムを掲載いたします。これからも変わらずお付き合いいただければありがたいです。

けさは、20年振りに新紙幣流通がなされたこともあり、新1万円札の肖像となった渋沢栄一翁にちなんだお話です。私の手元には、渋沢栄一翁が雅号である「青淵」を用いて書名にした談話集「青淵百話」の書籍コピーがあります。初版は今から112年前の1912年6月ですから、元号が明治から大正に変わる直前です。残念ながら全文ではなく、ほんのわずか20ページ余りです。今から10数年前、銀行勤務時代の同僚が古本市で偶然発見。その同僚のライフワークのひとつが古書集めであり、私が興味を示すと推測した箇所をあらかじめコピーにとり、用意しておいてくれていたのです。

青淵百話の48番目は「会社銀行員の必要的資格」と題し、第一に「簿記に熟練すること、簿記は計算の基礎」と述べています。第二に「算術に熟達すること 殊に珠算に熟達して居らねばならぬ」と。第三に「文筆の才あること 別に文章家たる程の必要もないが多少文筆の心得があって…」。第四に「字体の明確なること 如何に書風は雅致でも難読の字は困る」と。

偶然かもしれませんが、1万円札の肖像は福沢諭吉先生から渋沢栄一翁にバトンタッチされましたが、福沢先生も簿記には優れた教育効果があると説いておりました。関西学院大学の西嶋達人助教は6月28日の日経新聞「私卓卓見」で、福沢先生が「学問のすすめ」の中で実学として挙げたものの一つに「帳合いの仕方」があったと指摘し、「『帳合いの仕方』とは簿記である」と解説しています。福沢先生と渋沢翁は互いにその存在を意識し、我が国近代化の先駆者として新しい時代を切り拓いてこられました。そのご両名がいずれも簿記の大切さを説いていたのです。

西嶋氏は記事のなかで「新NISAをきっかけに投資をする人が増えている。子どもたちのこれからの人生においても、投資をする機会が増えていくだろう」と述べ、小学校での簿記教育導入を提案しています。さすがに簿記の複雑なしくみまでは難しいでしょうから、せめて全国の先生におかれましては、ぜひ子供たちに「福沢さんも渋沢さんも、簿記というものを世に広めた人物なんだ」と伝えていただければと思います。幼いうちから簿記という言葉を知っているだけでも、相当な教育効果ではないでしょうか。

私は昨年11月より、フィナシープロご利用の皆さまに向けたメールマガジンで、「私の金融経済実録史」と題するコラムを25回にわたってお届けいたしました。その後、少し間が空きましたが、本年2月から5月まで、「『志』高く『腰』低く『声』明るく」と銘打ち、皆さまにコラムをお送りしてきました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #会計・税制
次の記事
耳慣れない言葉との出会いが人生の視野を広げる
~「PEDAL行動」と「カスタマー・アドボカシー」~

2024.07.25

この連載の記事一覧

岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

2024.12.26

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

2024.12.12

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

2024.11.28

防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販

2024.11.14

KKR創業者・クラビス氏の「私の履歴書」は必読です 

2024.10.31

「ドブ板」の日米比較 選挙も営業も地道に泥くさく

2024.10.24

米国で出会った「水もしたたる良い男」 ~アドバイザーの模範生?~

2024.10.10

私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~

2024.09.26

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

2024.09.12

あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~

2024.08.22

おすすめの記事

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「225」がトップ、年末に史上最高値を更新した「S&P500」は2026年にどうなる?

finasee Pro 編集部

11月のトップは「電力革命」、静銀ティーエム証券の売れ筋の変化は新しいスターファンドの胎動か? 

finasee Pro 編集部

滋賀銀行の売れ筋ランキングが様変わり、年末を控えてインデックスファンドからアクティブファンドに流れが変わった?

finasee Pro 編集部

【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに

みさき透

【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」

Finasee編集部

著者情報

岩本 健已
いわもと・たけみ
株式会社想研 執行役員
1953年(昭和28年)生まれ71歳。銀行・証券会社・資産運用会社と金融業界一筋から、2023年に金融メディアの(株)想研に入社。銀行系投資顧問会社設立メンバー(1985年)、銀行の投信窓販解禁準備責任者(1997年)などを務める。全国地方銀行協会主催の新任支店長研修で3年連続講師。約60の銀行に対し、約500回、延べ約2万人に研修を実施する。趣味はアイスホッケーで71歳の現役選手(GK)。北海道苫小牧市の「王子製紙nepiaリンク」にアイスホッケー関連書籍300冊超とパネル等を寄贈。ビジネス信条は「信頼と継続」。著書「『志』高く『腰』低く『声』明るく」(地域金融研究所)
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
11月のトップは「電力革命」、静銀ティーエム証券の売れ筋の変化は新しいスターファンドの胎動か? 
【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに
常陽銀行の売れ筋で「のむラップ・ファンド」が「ゴールド」や「NASDAQ100」より順位を上げた理由は?
【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「225」がトップ、年末に史上最高値を更新した「S&P500」は2026年にどうなる?
変化の時期における「長期投資家」の立ち位置は?ベイリー・ギフォード共同経営者に聞く
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
今年の漢字は「熊」ではなく「牛」、26年末は日経平均株価6万円に! 暗号資産ETFが出てくれば…日証協会長が会見で見解
【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編
常陽銀行の売れ筋で「のむラップ・ファンド」が「ゴールド」や「NASDAQ100」より順位を上げた理由は?
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」
【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに
11月のトップは「電力革命」、静銀ティーエム証券の売れ筋の変化は新しいスターファンドの胎動か? 
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
今年の漢字は「熊」ではなく「牛」、26年末は日経平均株価6万円に! 暗号資産ETFが出てくれば…日証協会長が会見で見解
変化の時期における「長期投資家」の立ち位置は?ベイリー・ギフォード共同経営者に聞く
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
ECL計算方法は解釈の余地が大きすぎないか
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
常陽銀行の売れ筋で「のむラップ・ファンド」が「ゴールド」や「NASDAQ100」より順位を上げた理由は?
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」
「AI以外はほぼリセッションに近い」米国経済はAIバブルか? ―強さと弱点から見通す2026年“変わりゆく”世界経済と投資環境
10年国債利回り2%接近でみずほ銀行の売れ筋に単位型ファンド、利回りニーズをとらえた人気ファンドとは?
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら