finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

岩本 健已
岩本 健已
株式会社想研 執行役員
2024.12.26
会員限定
100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

前回、私はみずからのロールモデルを「クラシックカー」になぞらえている経緯についてお伝えいたしました。その中で、私の研修講師経験とコラム執筆をクラシックカーの部品に例えました。

今回はお客さまとの信頼関係を構築するにあたり、どうしても譲れない3点についてお伝えしたいと思います。それは、やや大げさな言いまわしにもなりますが「我が矜持」ともいえると思います。

 

1点目は、いかなることが起きようが、約束の5分前に必ずドアノックをすることです。かつて先輩は「岩本君。君はプロフェショナルとアマチュアの違いがわかるかい?」と質問してこられました。私が答えに窮していると先輩は「アマチュアは一回の機会に一回失敗しても許されるが、プロフェショナルは100回の機会に100回すべて成功するのが当たり前。一回の失敗も許されない。だからお金をいただけるのさ。」と。5分前ノックを確実に実現するためには、例えば地方出張なら前日泊も辞さずという構えでした。もし当日飛行機が欠航してしまったら、取り返しがつきません。また、15分前や30分前から先方近くで待つのも当たり前です。あらかじめ周囲の様子を把握できるなど、得られる効能の方が大きいと思います。

2点目は必ず、A4用紙1枚でも、たった1行でも、何か新しい情報、新しい話をお届けすることを心掛けることです。ある時お客さまを訪ねると、その日はお客さまの隣に部下の方がいらっしゃいました。面談が終わりかけていたころです。お客さまは「岩本さんは私を訪ねてこられる時、必ず何か新しい情報を提供してくれる。たった1行のメモをいただいたこともあった。きょうはわざわざ部下を隣に座らせて待っているのに、メモをくださらないのですね。」と。私は「申し訳ありません。お渡しそびれていました。」と言い、かばんから1枚の紙を取り出し、お客さまにお渡しいたしました。すると、お客さまは部下にその紙を渡され、「やっぱりそうだろう」と言わんばかりのお顔をされました。

3点目はネクタイです。必ずお客さまのコーポレートカラーにあわせたネクタイを締めて面談に臨みます。それは、お会いする前に、お客さまのことを勉強してまいりましたという証のためです。私がお客さまのコーポレートカラーのネクタイにこだるのは、生涯忘れることのできない大失敗をしているからなのです。

私は30代の半ばに、お取引先総合商社のインドネシア向けプロジェクトファイナンスのエージェントステイタスをいただき、すっかり有頂天になっていました。そして何も下調べせずインドネシアに乗り込んだのです。500名を超える調印式で、ひな壇に座ったまでは良かったのですが、周囲を見まわすと、紺のスーツに紺のネクタイは自分ひとりでした。他の方はみな、バテックと呼ばれるインドネシアの民族衣装柄のシャツ、あるいは白の麻のスーツ姿でした。すべては私のインドネシアに対するレスペクトの欠如が起因していました。事前準備がなかったのです。以来、私はお客さまとの面談が決まると、徹底的に事前準備を励行するようにしています。

これら3点はどなたでも出来る事ばかりです。それだけで他との違いが出るわけがないと思われるでしょうが、必ずそれを実行し続けることが大切ではないでしょうか。

3点申しあげたところで、もうひとつ、「我がモットー」をお伝えいたします。

「信頼と継続」です。どちらが欠けても成り立ちません。

1998年12月に銀行等金融機関での投資信託窓口販売(いわゆる窓販)が始まるにあたり、私はこのビジネスの責任者として「信頼と継続」というフレーズを使い始めました。60代になりスイス・ジュネーブに本社のあるピクテの日本法人に入りました。社内でパートナーが書いたエッセイ集を読み進めたところ、「ピクテにおいて『信頼』とは、お客さまに提供する最高のサービスであり、『継続』は言うまでもないこと」という一文を発見しました。自分がモットーとしてきた考えは間違っていなかった。これからもこの考えを続けていける。と。これ以上の喜びはありませんでした。今でも、その時のことを鮮明に覚えています。

 

7月から半年という短い期間でしたが、本コラムにお付き合いいただきありがとうございました。コラムは本日をもってピリオドを打ちますが、フィナシープロを引き続きご愛顧いただきたく、宜しくお願いいたします。

皆さまのご活躍を心よりお祈りいたします。

良いお年をお迎えください。

ありがとうございました。

前回、私はみずからのロールモデルを「クラシックカー」になぞらえている経緯についてお伝えいたしました。その中で、私の研修講師経験とコラム執筆をクラシックカーの部品に例えました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~
2024.12.12

この連載の記事一覧

岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

2024.12.26

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

2024.12.12

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

2024.11.28

防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販

2024.11.14

KKR創業者・クラビス氏の「私の履歴書」は必読です 

2024.10.31

「ドブ板」の日米比較 選挙も営業も地道に泥くさく

2024.10.24

米国で出会った「水もしたたる良い男」 ~アドバイザーの模範生?~

2024.10.10

私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~

2024.09.26

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

2024.09.12

あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~

2024.08.22

おすすめの記事

「貯蓄から投資、その先へ」の「先」とは?日証協設置の新組織と直接金融の逆襲

川辺 和将

SBI証券の売れ筋で「SBI・V・S&P500」「ゴールド」「FANG+」を押しのけて「日本株4.3ブル」が人気

finasee Pro 編集部

みずほ銀行の販売額上位は引き続きリスク管理重視、リスクテイクは「日本株」や「グロイン」を選好

finasee Pro 編集部

投資信託の為替ヘッジを“今”見直す理由

生井澤 浩

三菱UFJ銀行の売れ筋で「オルカン」「S&P500」を押し下げて「日経225」が一段とランクアップ

finasee Pro 編集部

著者情報

岩本 健已
いわもと・たけみ
株式会社想研 執行役員
1953年(昭和28年)生まれ71歳。銀行・証券会社・資産運用会社と金融業界一筋から、2023年に金融メディアの(株)想研に入社。銀行系投資顧問会社設立メンバー(1985年)、銀行の投信窓販解禁準備責任者(1997年)などを務める。全国地方銀行協会主催の新任支店長研修で3年連続講師。約60の銀行に対し、約500回、延べ約2万人に研修を実施する。趣味はアイスホッケーで71歳の現役選手(GK)。北海道苫小牧市の「王子製紙nepiaリンク」にアイスホッケー関連書籍300冊超とパネル等を寄贈。ビジネス信条は「信頼と継続」。著書「『志』高く『腰』低く『声』明るく」(地域金融研究所)
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
SBI証券の売れ筋で「SBI・V・S&P500」「ゴールド」「FANG+」を押しのけて「日本株4.3ブル」が人気
「貯蓄から投資、その先へ」の「先」とは?日証協設置の新組織と直接金融の逆襲
みずほ銀行の販売額上位は引き続きリスク管理重視、リスクテイクは「日本株」や「グロイン」を選好
投資信託の為替ヘッジを“今”見直す理由
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
新NISA戦略を運用会社に聞く① 日興アセット、新しい投資家の開拓のためには対面窓口での対応がカギに
金融経済教育が定着しない本当の理由――後回しにされないための「行動に繋がる接触設計」を考える
株安局面で「国内株式」に前月比3倍の資金流入、純資産総額は11カ月ぶりの減少=26年3月投信概況
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
「支店長! 正直なところ顧客本位と顧客満足の違いが分かりません」
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
投資信託の為替ヘッジを“今”見直す理由
みずほ銀行の販売額上位は引き続きリスク管理重視、リスクテイクは「日本株」や「グロイン」を選好
金融経済教育が定着しない本当の理由――後回しにされないための「行動に繋がる接触設計」を考える
株安局面で「国内株式」に前月比3倍の資金流入、純資産総額は11カ月ぶりの減少=26年3月投信概況
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
三井住友銀行で「円資産ファンド」の評価高まる、下落過程での「225」押し目買いは4月上旬で成果
パフォーマンスは株式関連ファンドが大幅マイナス、原油高騰で「シェールガス」関連が希少なプラス=2026年3月ファンド収益率上位
米国経済 Deep Insight 第16回
ウォーシュFRB議長で何が変わるか――バランスシート縮小は当面困難
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
広島銀行の売れ筋トップを独走する「ポラリス」と第2位を継続する「世界経済インデックスファンド」の魅力
事業会社から最も評価が高い運用会社はどこか?Extel社の調査結果に見る日本市場の「360度評価」
【みさき透】ファイナンシャル・ウェルビーイング企業の支援で運用立国の高度化を、今夏の「新金融戦略」に向け議連で検討も
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
投資信託の為替ヘッジを“今”見直す理由
SBI証券で売れ筋上位は変わらず、イラン紛争の長期化懸念でアクティブファンドにも出番
長期金利の急上昇が話題になった日本国債発行体である財務省国債企画課は市場をどう見ているのか【前編】
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら