finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
岩本健已の志高く腰低く声明るく

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

岩本 健已
岩本 健已
株式会社想研 執行役員
2024.09.12
会員限定
AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

今から1年ほど前、私は大前研一氏を学長とするビジネス・ブレークスルー大学(BBT University)の学位授与式(卒業式)の場で、大前氏の話を直に聴くことができました。大前学長は80歳代とおっしゃっていましたが、大きな声が良く通り、いわゆる「オーラ」を感じました。

その大前氏が卒業生に送ることばは、突きつめると「構想力」を期待する内容でした。曰く「明治維新以降、日本は欧米に『追いつけ追い越せ』で答えのある世界に答えを前提で突き進んできた。その結果、30年前に世界の時価総額トップ10企業で本邦企業が8社を占めていたが、今では世界トップ企業を20社に広げても、本邦企業は1社も入っていない。つまり、『構想力』を失ってしまったのではないか。」と。「0から1を生むのはコンピュータではない。コンピュータは0.5を0.51…にする。しかし、0から1を生むのは人間だ。」と。

大前氏は、アルビン・トフラーが提唱した「第三の波」を経て、「第四の波」がやってくると断言されています。「人類社会は、第一の波(農業革命による農業社会)、第二の波(産業革命による工業社会)、第三の波(情報革命によるIT社会)を経て、シンギュラリティ(AIが人類の知能を超える技術的特異点)に到達することで、IT社会から、AIをベースとしたサイバー社会に、世の中の構造が転換する。」とおっしゃっていました。

さらに、IT社会とサイバー社会の相違点として、「IT社会では単純作業がツールに置き換わっただけであったが、サイバー社会では、単純作業ではない様々な仕事がAIに取って代わられる。」と説きました。例えば、完全無人運転実現の先に、自動運転によりドライバーや配達員が不要になるとか、運転免許がなくなり教習所が不要になるとか、スピード違反がなくなり、交通警察が不要になるなどと予想しています。

加えて、特筆すべき事項として、弁護士や医師、教師といった「プロフェッショナル」と呼ばれる仕事こそが失われる脅威にさらされると指摘しています。教師を例に出し、「指導要領通りに教えるような授業では、各教科に教え方がうまい先生が一人いればいい。一度授業をしたものを録画して流せばよく、他の先生は補講や進路指導、心理相談の役割を担うことになるでしょう。」とおっしゃっていました。

そこで、大前氏は「『答えのある仕事』のほとんどがAIに取って代わられる第四の波の時代を生き抜いていくために『構想力』が求められる。」と言い切られていました。「コンピュータは記憶には強いが、0から1を生み出すことには弱い。」と強調するなか、「構想力」を活かし、AIにも取って代わられない仕事の例として、事業を生み出す起業家、作品を生む出すアーティスト、クリエイターなどを挙げています。

私が意外に思ったのは、大前氏がシンギュラリティ後に生き残る仕事として、人間らしい「ホスピタリティ」が求められる領域の仕事を挙げられていたことです。具体的には、介護士、保育士やカウンセラー等でした。

今から26年前、我が国の銀行等金融機関で投資信託の窓口販売が解禁になりましたが、私は投信窓販ビジネスの創成期から、このビジネスはホスピタリティビジネスではないだろうかと問いかけ続けてきました。ホスピタリティの精神は自分がしてほしかったと思うことをすることではないだろうか。だとすれば、自分がお客さまだったら…これが基本ではないだろうか。これが私の考えでした。

大前氏はシンギュラリティ後に生き残る仕事、構想力を活かした仕事やAIが苦手な仕事の具体例を挙げられていましたが、残念ながら「資産運用アドバイザー」や「プライベート・バンカー」は見当たりませんでした。私は「資産運用アドバイザー」や「プライベート・バンカー」こそ、人間らしい「ホスピタリティ」が求められる領域の仕事であると強く思います。

今から1年ほど前、私は大前研一氏を学長とするビジネス・ブレークスルー大学(BBT University)の学位授与式(卒業式)の場で、大前氏の話を直に聴くことができました。大前学長は80歳代とおっしゃっていましたが、大きな声が良く通り、いわゆる「オーラ」を感じました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~
2024.08.22
次の記事
私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~
2024.09.26

この連載の記事一覧

岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

2024.12.26

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

2024.12.12

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

2024.11.28

防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販

2024.11.14

KKR創業者・クラビス氏の「私の履歴書」は必読です 

2024.10.31

「ドブ板」の日米比較 選挙も営業も地道に泥くさく

2024.10.24

米国で出会った「水もしたたる良い男」 ~アドバイザーの模範生?~

2024.10.10

私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~

2024.09.26

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

2024.09.12

あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~

2024.08.22

おすすめの記事

「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化

finasee Pro 編集部

【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント

文月つむぎ

資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況

finasee Pro 編集部

投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】

Ma-Do編集部

暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか

川辺 和将

著者情報

岩本 健已
いわもと・たけみ
株式会社想研 執行役員
1953年(昭和28年)生まれ71歳。銀行・証券会社・資産運用会社と金融業界一筋から、2023年に金融メディアの(株)想研に入社。銀行系投資顧問会社設立メンバー(1985年)、銀行の投信窓販解禁準備責任者(1997年)などを務める。全国地方銀行協会主催の新任支店長研修で3年連続講師。約60の銀行に対し、約500回、延べ約2万人に研修を実施する。趣味はアイスホッケーで71歳の現役選手(GK)。北海道苫小牧市の「王子製紙nepiaリンク」にアイスホッケー関連書籍300冊超とパネル等を寄贈。ビジネス信条は「信頼と継続」。著書「『志』高く『腰』低く『声』明るく」(地域金融研究所)
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
① 「長期・積立・分散」だけが顧客本位なのか
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
② 投信窓販において収益性と顧客本位をどう両立させるか
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
社保審系会合でGPIFが「安定的収益を確保」実績を強調、オルタナティブ+インパクトの強化策に有識者から注文も
第13回 運用資産に関わる常識を疑え!(その2)
高金利通貨での運用は有利?
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
③ 金融行政に本部が過剰反応?対面金融機関の役割とは
【連載】こたえてください森脇さん
②長期運用希望のお客さまに、アフターフォローは必要?
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
浪川攻の一刀両断
個人投資家がアドバイザーを選ぶ時代に、「J-FLEC」の検索エンジンに学べ
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
eスマート証券の売れ筋から「国内債券」の順位が落ちる、新たに加わったファンドとは?
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」
FPパートナーへの業務改善命令は"FDレポートの保険版"?金融庁が処分にこめた3つのメッセージ
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら