finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
岩本健已の志高く腰低く声明るく

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

岩本 健已
岩本 健已
株式会社想研 執行役員
2024.11.28
会員限定
「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

 

前回のコラムの最後に、「人生には無駄に見えて実は重要なことが沢山あります。それも、アイスホッケーから学んだ一つです。この学びは、次回のコラムにてお伝えいたします。」と皆さまにお約束しておりましたので、今回もアイスホッケーの学びから入ります。

私がゴーリー(サッカーでいうゴールキーパー)として行っていた練習に、防具をつけたまま、ひたすら短距離のダッシュを繰り返すメニューがありました。ゴーリーはフォワードなど他のプレーヤーに比べて動き回ることが少なく、防具も圧倒的に重いため、アイスホッケーを始めた当初の私は、この練習はゴーリーにとって不要であると思っていました。

しかし、この地道なダッシュの繰り返しこそが、ゴール前の俊敏な動きにつながるのだと気づいたのは1年生の終わりの頃でした。地道な練習を積み重ねてもすぐに成果に結びつくかどうかわかりません。しかし、当たり前のことを平然とやり続けることで道が開けることを実感しました。それは、まさに社会で直面していることにつながるものでした。

地道な練習といえば、9月に誕生した大相撲新大関「大の里関」の師匠である二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の育成方針が、角界に言い伝わる格言「3年先の稽古」であると話題になりました。それになぞらえるつもりはありませんが、私が50代になってから資産運用会社で営業責任者をつとめた際の実践をお話いたします。

私の営業スタイルは「研修業」、それもほぼ「将来を見据えた研修業」でした。あるしびれを切らした金融機関の役員の方から「あなたの研修講義には、今日どのようにしてみかんをもぐか、リンゴをどうとるかの話がない。幹を太くし、枝葉を茂らせが大切なのはわかるが。」とお叱りを受けたこともありました。しかし時間差はあったにせよ、営業責任者としての使命を果たし、結果は出してきたと自負しています。すなわち、最終的に金融機関の皆さまのお仕事に貢献できたからでした。

投資信託の営業とは投資家であるお客さまに投資信託を販売する(売りつける)のではなく、お客さまがご資産の形成でどのような事をお考えなのかを聴き出し、それに対して的確なアドバイスを送ることではないか。これが私の持論でした。したがって、金融機関で営業に従事されている方に「もの(投資信託)を売るのではなく、お客さまにアドバイスを送れる人になろう。」と呼びかけていました。そうすれば時間は少しかかっても、結果として、お客さまはアドバイスを信じて、そのアドバイザーを通して投資信託をご購入される。研修がこのサイクルを実現するとの強い信念のもと、全国を行脚しました。

研修は一見無駄に見られがちです。何故ならば、研修は業績に直結するかどうかわかりづらく、具体的な数値を見込むことが困難だからです。アドバイス業務も同様と思われがちです。

しかし、時代は変わろうとしています。今年から新NISAがスタートしました。この制度は、我が国が「資産運用立国」を歩むうえで極めて大事であると考えます。資産形成は時間のかかる長い道のりを要するものです。それを成功に導くためには、販売ではなく、アドバイス。アドバイスの前にカウンセリングが当たり前のように根付くことではないでしょうか。アドバイスを専業にする会社を設立し、アドバイザー養成に注力している金融グループもあります。まさにアドバイス業務が、近い将来、本邦金融機関のスタンダードになるような気がしています。

 

前回のコラムの最後に、「人生には無駄に見えて実は重要なことが沢山あります。それも、アイスホッケーから学んだ一つです。この学びは、次回のコラムにてお伝えいたします。」と皆さまにお約束しておりましたので、今回もアイスホッケーの学びから入ります。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販
2024.11.14
次の記事
100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~
2024.12.12

この連載の記事一覧

岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

2024.12.26

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

2024.12.12

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

2024.11.28

防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販

2024.11.14

KKR創業者・クラビス氏の「私の履歴書」は必読です 

2024.10.31

「ドブ板」の日米比較 選挙も営業も地道に泥くさく

2024.10.24

米国で出会った「水もしたたる良い男」 ~アドバイザーの模範生?~

2024.10.10

私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~

2024.09.26

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

2024.09.12

あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~

2024.08.22

おすすめの記事

大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 

finasee Pro 編集部

金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点

川辺 和将

「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化

finasee Pro 編集部

【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント

文月つむぎ

資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況

finasee Pro 編集部

著者情報

岩本 健已
いわもと・たけみ
株式会社想研 執行役員
1953年(昭和28年)生まれ71歳。銀行・証券会社・資産運用会社と金融業界一筋から、2023年に金融メディアの(株)想研に入社。銀行系投資顧問会社設立メンバー(1985年)、銀行の投信窓販解禁準備責任者(1997年)などを務める。全国地方銀行協会主催の新任支店長研修で3年連続講師。約60の銀行に対し、約500回、延べ約2万人に研修を実施する。趣味はアイスホッケーで71歳の現役選手(GK)。北海道苫小牧市の「王子製紙nepiaリンク」にアイスホッケー関連書籍300冊超とパネル等を寄贈。ビジネス信条は「信頼と継続」。著書「『志』高く『腰』低く『声』明るく」(地域金融研究所)
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
第13回 運用資産に関わる常識を疑え!(その2)
高金利通貨での運用は有利?
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
コア預金モデル高度化に取り組む背景と今後の課題~地銀担当者と開発者によるパネルディスカッション
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
浪川攻の一刀両断
個人投資家がアドバイザーを選ぶ時代に、「J-FLEC」の検索エンジンに学べ
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
eスマート証券の売れ筋から「国内債券」の順位が落ちる、新たに加わったファンドとは?
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」
FPパートナーへの業務改善命令は"FDレポートの保険版"?金融庁が処分にこめた3つのメッセージ
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら