資産運用はコツだけ押さえて、あとは“ほったらかし”で大丈夫!

2つ目のお悩みですが、資産運用については“勉強”と気負わず、コツだけを押さえてくだされば十分です。DCのような積み立てのメリットは、マーケットが下がったときにもきちんと買い続けられることです。しかも、下落時には投資信託の口数を多く購入できるので、基準価額が戻りきらなくても評価額は回復する。これがいわゆるドルコスト平均法のメリットで、長期運用の最大のポイントです。この点を一度マスターしておけば、つみたてNISA はもちろん、特定口座など課税口座での積立投資も抵抗なく始められるはずです。

また、勉強する時間がないとのことですが、このコツだけ押さえていただければ、あまり考えすぎなくてもいいでしょう。例えば企業型DCで国内株と海外株のインデックスファンドを持っていれば、値動きの違いが分かるようになってきます。あるいは海外株と比べると、国内株が劣後して見えるかもしれませんが、その段階で初めて“勉強する”ことを本格的に考えてもいいのではと思います。

青田さんには積極的に運用されたいという気持ちがあるようですから、勉強を始めると、さらにアクティブファンドを購入するという選択肢も出てくるかもしれません。そこでお伝えしたいのが、アクティブファンドを選ぶ時の考え方。結局は、インデックスより高いリターンがほしいか、リスクを抑えたいかのどちらか2つで、青田さんの場合はおそらく前者になるでしょう。その際、ファンド選びのポイントになるのはシャープレシオ(効率係数/運用効率を表す指標)を見ることで、この局面になればもう一歩踏み込んだ勉強が必要になってきます。

もっとも、企業型DCプランで用意されているアクティブファンドはバランス型と同様に古いタイプが多く、つみたてNISAも対象商品が少ないので、アクティブ型を保有するなら課税口座がいいでしょう。そうすると企業型DC、つみたてNISA、課税口座という3階建てになりますが、願わくは、そこまでチャレンジしていただきたいですね。もちろん同時進行でなくても、段階を踏んで始めていただければ大丈夫。この時点で海外と国内の資産を組み合わせたポートフォリオができていますし、すでに資産形成で踏むべきステップは十分にクリアしているわけですから。

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最後に、老後の備えの目安となる金額もお伝えしておきます。フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所の調査によれば、「退職直前年収の7倍」(年収の2倍と設定した退職一時金を除く)を退職時点での必要額の目安としています。年齢的にも現在の貯蓄額からも、青田さんには可能な限り早く資産形成を始め、もう少し頑張っていただきたいというエールを送りたいですね。

 DCは税制面のメリットの多い制度で、今やグローバルスタンダードにもなりつつありますから、資産形成のベースとして、ぜひ積極的に活用してみてください。