持続的成長へのハードル-SMCが抱える2つのリスク

①中国市場への高い依存と地政学リスク

SMCは海外売上比率が80%を超えており、中でも地域別では中国市場の売上が約25%と最も高く、依存度が指摘されます。そのため政治体制や経済環境の変化、法規制の変更などが懸念されます。また、米中対立といった地政学リスクに加え、中国国内で半導体などの国産化が進むことで、将来的に現地の競合メーカーとの激しい価格競争に巻き込まれるリスクも否めません。

②半導体市況などの「設備投資サイクル」への依存リスク 

SMCの主力製品は工場の自動化(FA)に不可欠な部品であるため、同社の収益は半導体製造装置メーカーや自動車メーカーなど取引先の設備投資の動向に大きく左右されます。 交換部品としての安定したリピート需要があるものの、半導体市況の悪化やEV化の減速、世界経済の急変などによって顧客が設備投資を先送りすることになれば、新規需要が減少して一時的な減益圧力となるリスクがあります。ただしSMCの顧客は半導体、自動車関連だけではなく食品、医療など多岐に分散されており、これらのリスクに対して防衛策を講じています。

攻めの製品網と守りの財務、売上高1兆円は通過点

SMCの強さは70万品目の網羅的な製品群という攻めの姿勢だけでなく、自己資本比率91.5%という堅牢な財務をバックボーンとした守りの堅実さにあります。

一極集中を排除した独自のBCP体制や、柏の葉、遠野といった新拠点への過去最高の巨額投資からは地政学リスクを乗り越えて成長の糧にするという狙いが見えてきます。

世界基準の厳しい選別を勝ち抜き、世界のファクトリーオートメーションを先導する同社にとって売上高1兆円という大台は通過点に過ぎないのかもしれません。