<前編のあらすじ>
66歳になる達樹さんは、65歳を過ぎたころにクモ膜下出血で倒れ、肢体に障害が残ってしまいました。退職して老齢年金の受給を考えていたところ、障害年金についても気になる達樹さんは年金事務所を訪れます。
老齢年金と障害年金を2重でもらえるのか質問すると、窓口職員から意外な答えが……。
●前編:「年金を2重にもらえるかも…」クモ膜下出血で倒れ障害が残る66歳男性が年金事務所で告げられた「厳しい一言」
障害基礎年金と障害厚生年金の仕組み
障害年金は年金制度上の障害等級(障害者手帳の等級とは異なる)に該当すれば対象となります。障害等級1級・2級を対象とした障害基礎年金と、障害等級1~3級を対象とした障害厚生年金があります。
それぞれの受給のためには条件があります。障害基礎年金は初診日(障害の原因となる傷病で初めて医師等の診療を受けた日)時点で、①国民年金の被保険者であること、②国民年金の被保険者であった人で日本国内に居住する60歳以上65歳未満であること、いずれかを満たす必要があります。
一方、障害厚生年金は初診日時点で厚生年金の被保険者であることが条件となっています。
達樹さんの場合、初診日は65歳を過ぎた在職期間中にありました。
65歳以降の初診日だと障害厚生年金のみ
厚生年金の被保険者は、同時に国民年金の被保険者でもあるとされています(国民年金第2号被保険者)。この点を見ると、在職中に初診日のある達樹さんに障害基礎年金と障害厚生年金の受給資格があるようにも見えます。
しかし、65歳時点で老齢年金が受給できると、65歳到達で「国民年金の第2号被保険者」としての資格を喪失することになっています。つまり、65歳以降は厚生年金の被保険者ではあっても国民年金の被保険者ではなく、「厚生年金被保険者=国民年金第2号被保険者」である65歳前とは異なります。
そのため、障害基礎年金については、前述の要件の①も②も満たせず、受給ができないことになります。
一方、障害厚生年金についてはどうでしょうか。達樹さんの場合、初診日は厚生年金被保険者だった65歳以降でしたので、障害認定日(原則は初診日から1年6カ月経過日)時点で障害等級1級~3級に該当していれば受給することが可能です。要するに65歳以降の初診日の場合は障害厚生年金のみ受給できることになります。
ただ、既に老齢年金も受給できることになっている場合、障害厚生年金は老齢年金と調整され、両方を同時に受給することはできない仕組みになっています。
