夫に打ち明けた想い

読み終えた勝美はしばらく動くことができなかった。自分の意志とは無関係に、涙がこぼれ続けていた。

やがて気持ちが落ち着いたあと、勝美は居間で辰雄とテレビを見ていた祐太朗を寝室に呼び出して手紙のことを話した。

「へえ、まさかこんな手紙が出てくるなんてね……」

「倒れる直前だったからきっと出せなかったんでしょうね」

「それで本題は何? 手紙があったってだけじゃないんだろ?」

「父さんとのこれからのことを考えたいと思って……」

「……そうだね。それが良いと思うよ」

「前ならもう施設に入れるだけでいいと思ってた。介護なんて絶対にやりたくなかったし。顔だって見たくないと思ってた。でも……」

祐太朗は笑みを浮かべる。

「考えが変わったんだろ?」

「別にお父さんのことを好きになったわけじゃないよ。でも母さんがあの人のことを心から想っていたっていうのは分かった。だとしたら、あの人のこと放っておくと、母さんが悲しむかもしれないなって」

祐太朗は深くうなずき、勝美は軽く息を吐いた。

とはいえ、父子としての溝は大きすぎた。だからどういう風にサポートをするのが良いのかはまだ分からない。それでも、母さんの思いを無視したくないと強く思っていることだけは、はっきりと分かっていた。