原則、レバレッジ型は短期勝負のもの。初心者は手を出さないほうがよい

以上は極端なケースですが、これを実際のTOPIXの値動きに当てはめて考えてみましょう。

2024年7月22日を起点にして、2025年10月9日までの間、TOPIXは2827.53ポイントから3257.77ポイントまで15.22%上昇しました。ということは、これに対して2倍の連動率を持つレバレッジ型ファンドの基準価額は、15.22%×2倍=30.44%上昇するはず、と思うかも知れませんが、実際の基準価額は、100でスタートしたものが122.33にしかなりませんでした。30.44%ではなく22.33%しか上昇していないのです。

なぜ保有期間中の参考指数の上昇率に対して、レバレッジ型ファンドの基準価額の上昇率が乖離するのかというと、レバレッジ型ファンドのレバレッジが、前日の基準価額に対するレバレッジになるからです。

レバレッジは上昇に対してだけでなく、下落に対しても作用します。つまり参考指数が10%下落すると、レバレッジ型ファンドの基準価額は、前日のそれに対して20%下落するようになっているのです。その結果、レバレッジ型ファンドの基準価額は、参考指数に対して、より大きく値下がりします。

80のものを100まで戻すには25%の上昇率を必要としますが、60のものを100まで戻すには、66.66%の上昇率を必要とします。より大きく値段が下押しすると、それだけより高く上昇する力が必要になります。それと同じ原理が、レバレッジ型ファンドにもあてはまるのです。

こうした商品の設計上の特性から言うと、レバレッジ型ファンドで効率良くリターンを得るためには、短期の値動きを狙うしかありません。

しかし、ここでもうひとつの問題が生じてきます。

投資信託の約定価格は、基本的に本日のマーケットの終値で確定します。そして、本日の終値で算出された基準価額で買い付けるためには、本日の15時半までに注文を出さなければなりません。

ということは、今日のマーケットが好調だからという理由でレバレッジ型ファンドに買い注文を入れたとしても、約定価格は好調に値上がりした終値で算出された基準価額が適用されます。そのため、今日のマーケットが大きく値上がりしたからという理由で買い注文を入れると、高値を掴まされるリスクが生じてきます。

それを避けるためには、たとえば昨年8月や今年4月のように、株価が暴落した時に買い注文を入れ、その後のリバウンドを取りに行くしかありません。そして、思惑通りにリバウンドが来たら、その日のうちに解約して利益を確定させます。

しかし、このような短期のタイミングを狙った購入・解約を上手に出来るのは、マーケットの呼吸を読むことが出来るくらいに、投資経験を積んでいる人でしょう。その点でも、レバレッジ型ファンドは投資経験の浅い人が手を出すものではないことを、理解して下さい。