1年間で+10%になった指数があったとして、レバレッジ型が必ずしも+20%になるわけではない
レバレッジ型ファンドの問題点については、実例を挙げて説明した方がわかりやすいと思います。
たとえばレバレッジ2倍のファンドで運用した場合を想定してみましょう。参考指数はTOPIXにします。要するに、TOPIXの値動きに対して2倍の連動率を持つレバレッジ型ファンドです。
TOPIXが急落した4月7日を起点にして、10月9日までの同インデックスの上昇率は、42.34%でした。ということは、この間、TOPIXの値動きに対して2倍の連動率を持つレバレッジ型ファンドの基準価額の上昇率は、42.34%×2倍=84.68%になるはず、と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、前日と当日の基準価額の変動率を2倍にして、この半年間のレバレッジ型ファンドの上昇率をシミュレートすると、上昇率は98.66%になりました。つまり倍以上のリターンが得られたことになります。少なくともこの半年間の国内株式市場においては、レバレッジ型ファンドの利点が大いに生かされました。
こうなると、長期にわたってレバレッジ型ファンドを保有し続ければ、リターンはさらに高くなるのではないか、と考えたくなるでしょう。
しかし、残念ながら現在、設定・運用されているレバレッジ型ファンドは、長期保有に耐えられない仕組みになっています。
ポイントは、2倍の連動率がいつの基準価額に対してのものか、という点です。
前述したように、レバレッジ型ファンドは、前日の基準価額に対して2倍、あるいは3倍といった倍率でレバレッジがかかる仕組みになっています。つまり1年間保有し続けた結果、参考指数が10%上昇したからといって、レバレッジ型ファンドの基準価額が20%上昇することにはならないのです。
ここでは便宜的に、参考指数とインデックスファンドの値動きが同一で、かつその値動きに対して2倍のレバレッジをかけたレバレッジ型ファンドがあると想定します。
参考指数が100だったのが、60まで値下がりした後、110まで上昇したとします。この場合、参考指数の上昇率は10%です。
では、参考指数に対して2倍の連動率を持つレバレッジ型ファンドの基準価額はどうなるでしょうか。スタート時点は同じ100として、参考指数が60まで値下がりした場合の下落率は40%です。レバレッジ型ファンドの基準価額は2倍の連動率なので、80%値下がりします。つまり100だったのが20になります。
その後、参考指数は60が110に値上がりしていますから、上昇率は83%です。したがって、レバレッジ型ファンドの基準価額は、166%上昇するはずです。すると20の基準価額が53になります。
つまり、参考指数は100が110になったのに、2倍の連動率を持つレバレッジ型ファンドは、100が53まで値下がりしてしまうのです。