アメリカの信用不安と米中関係
さて、今週はドルにとってのネガティブな材料がいくつも見られ、その一つが地方銀行が抱える貸出債権を巡る不正疑惑およびそれに端を発した金融不安です。アメリカでは2023年にも複数の地方銀行が経営破綻に至ったものの、その後、他行へと業務が受け継がれ、結果的には事なきを得ています。
そこで、当時、破綻した地方銀行と現在名前が挙がっている地方銀行に関して資産規模を比較してみました。すると、今回名前が挙がっている地方銀行はどれも当時、経営が破綻した地銀に比べて小規模です。
少し楽観的かもしれませんが、こうした地方銀行が仮に経営破綻した場合であっても、アメリカの金融システム全体に及ぼす影響は限定的なものにとどまるのではないでしょうか。いずれにしても今後の経過を注視していく必要があります。(スライド8)

次に米中間の緊張についてです。事の発端は10月9日、中国がレアアースの輸出規制強化を発表したことでした。これを受け、トランプ大統領が10日、月末に予定されていた首脳会談の中止を示唆し、一気に両国間の緊張が高まりました。ただ、その後もトランプ大統領が「うまくいく」と発言するなど、週末にかけて米中サミットが予定通り開催される見通しとなっています。その結果、足元では緊張が和らいでおり、為替市場での円売りに繋がりました。基本的に米中間での緊張の緩和は米国企業のマインド改善や採用活動の再開にもつながると期待されます。現状では米中サミットが開催され、11月10日の関税交渉期限までに何らかの合意形成がなされると予想していますが、こちらも引き続き経過を見ていくことになります。(スライド9)
