今回のマーケットトークのテーマは「高市首相誕生なら円安再起動か?」です。高市首相誕生が濃厚となりました。その際に円安が再び強まる可能性が高いとみられ、その背景について解説します。
今週の為替市場では総じてドルが軟調に推移しました。米中サミットの開催が危ぶまれた上、アメリカの地銀の融資に関する不正疑惑が報じられ、信用不安も警戒されました。また、パウエル議長の発言もややハト派的と受け止められており、米長期金利が4%を割り込んでいます。この為、ドル円は一時150円を割り込みましたが、米中間の緊張が和らぎ、足もとでは150円台半ばまで反発しています。(スライド2)
今週の主要通貨の対ドル変化率をみますと、カナダドル以外はドルに対して上昇しています。市場がリスク回避的となった結果、特にスイスフランや円が上位に位置しています。もっとも、そのスイスフランの上昇率も0.8%程度であり、ドル安の程度も限定的だったと言えます。(スライド3)
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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