エンジン不具合からV字回復、最高業績を更新 今期も増収増益を計画
続いて全体の業績を俯瞰しましょう。
24年3月期は特殊要因から苦戦しました。米P&W社が主導して開発したエンジンで不具合が発覚し、シェア15%で参画したIHIにも追加検査費用等が生じました。売り上げは比較的堅調でしたが、各段階利益は赤字に転落します。
直近の25年3月期は順調でした。受注高と売上収益、および各段階利益は過去最高を更新します。エンジン不具合の影響がはく落したほか、民間エンジンおよび防衛事業が大きく成長し、その他のセグメントの減益をカバーしました。
今期(26年3月期)も増収増益を計画します。米国関税や構造改革費として営業利益で200億円の下押しを織り込むものの、引き続き民間エンジン事業と防衛事業がけん引し、利益は成長が続く想定です。
【IHIの業績予想(26年3月期)】
・受注高:1兆7900億円(+2.2%)
・売上収益:1兆6500億円(+1.4%)
・営業利益:1500億円(+4.5%)
・純利益:1200億円(+6.4%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想
出所:IHI 決算短信および決算説明会資料
今期の第1四半期は減収減益でした。前年の大型案件の反動が大きく、前年同期比で売上収益は3.0%減、営業利益は同12.3%減で着地しています。
なお、新規の受注は好調でした。受注高は同29.1%増と大幅に拡大します。主導したのは資源・エネルギー・環境で、新エネルギーへの移行需要から大型受注を獲得しました。今後は成長事業のエンジン・ロケット分野だけでなく、育成事業に据えるクリーンエネルギー分野の進展も大きなカギとなります。