エンジン以外は構造改革 キャッシュ創出力に重点
好調な防衛事業と対照的に、その他の事業は苦戦しています。25年3月期において、「航空・宇宙・防衛」セグメントの営業利益率は22.2%に達しますが、その他のセグメントは2%台~6%台にとどまります。売り上げの規模は大きいですが、利益の貢献が小さい状況です。
【セグメント情報(25年3月期)】
※過給機(ターボチャージャー)…エンジンに空気を送り込む機械
IHIは、「成長事業」と「育成事業」に注力する一方、「中核事業」は構造改革を進めてきました。その一環で不採算事業の切り離しに着手しています。25年3月期には汎用ボイラ事業、運搬システム事業、芝草・芝生管理機器事業、コンクリート建材事業の売却を決定しました。
【IHIの成長事業・育成事業・中核事業】
・成長事業:民間・防衛向けの航空エンジンおよびロケット分野
・育成事業:クリーンエネルギー分野(原子力、アンモニア発電など)
・中核事業:資源・エネルギー・環境(クリーンエネルギー分野除く)、社会基盤、産業システム・汎用機械分野
出所:IHI 中期経営計画
中核事業の見直しは今後も継続します。収益性の向上を図り、改善しない場合は撤退も視野に入れます。たとえば、資源・エネルギー・環境事業におけるバイオマス発電からは撤退の方針です。また、産業システム・汎用機械の車両用過給機(ターボチャージャー)は、閉鎖を含む拠点の再編および価格転嫁に取り組み、採算を改善させます。
中核事業は利益とキャッシュの創出に重点を置く戦略です。得られたキャッシュは成長事業と育成事業へ再配分し、成長スピードの加速を狙います。