たばこ事業が好調、今期は大幅増益を予想 下期は鈍化の見込み
最後に今期(25年12月期)の見通しを押さえましょう。
今期は増収増益の計画です。値上げ効果や米ベクターが通期で寄与する影響などから、売上収益および為替一定ベースの調整後営業利益は増加を見込みます。また、前期に計上したカナダ訴訟関連の損失がはく落するため、営業利益および純利益は大幅な増益の予想です。
【日本たばこ産業の業績予想(25年12月期)】
・売上収益:3兆3440億円(+6.2%)
・為替一定ベースの調整後営業利益:8620億円(+14.6%)
・営業利益:7390億円(+128.5%)
・純利益:4940億円(+175.6%)
※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想
※調整後営業利益…営業利益から買収で生じた無形資産にかかる償却費および調整項目(のれんの減損損失、リストラクチャリング収益および費用など)を控除したもの
出所:日本たばこ産業 決算短信
今期は中間決算まで公表されています。売上収益は前年同期比で10.5%増、営業利益は同10.9%増と堅調でした。円高影響や、子会社だった鳥居薬品の譲渡関連の損失はあったものの、加熱式を中心にたばこ販売が伸び、全体でカバーしました。また、為替一定ベースの調整後営業利益も同24.7%増と好調でした。
冒頭のとおり、今期の通期業績予想は中間決算で上方修正されています。進捗率は売上収益が51.9%、為替一定ベースの調整後営業利益が65.6%、営業利益が64.9%と、修正後でも取り組みは順調です。
なお、第4四半期以降はベクター連結による販売量の押し上げが一巡します。この影響もあり、たばこ事業の下期は上期比で鈍化を想定しますが、為替のマイナス影響は期首計画より小さくなる見込みです。好業績は続くのでしょうか。第3四半期決算は10月末に公表される予定です。