年収250万円、将来への不安が尽きず退職するが…
本業の仕事自体はそれほど大変ではありませんでしたが、自分が頑張った分だけ成果が出るといった職種ではないので、やりがいや達成感を得ることはなかったそうです。
当時の年収は250万円ほど。実家を離れ一人暮らしをしていたため、貯金はほとんどできませんでした。昇給もあまり期待できないため、将来への不安は尽きません。
「このままこの会社で働き続けていてよいのだろうか? 今ならまだやり直すチャンスもあるのではないか」
そう考え2年程で退職をしました。
その後、再就職先を探しましたが、依然として厳しい時代が続いていたのでなかなか正社員での仕事は見つかりません。
無収入のままでいることに恐怖を覚えた慎吾さんは、しぶしぶコールセンターの職に就きました。
職場ではひっきりなしに電話が鳴り、お客さんからのクレームには容赦がありません。職場内の雰囲気も常にピリピリしており、神経をすり減らすような日々が続きました。あまりの激務のため、慎吾さんは1年で退職してしまいました。
退職後、生活を仕切り直すために両親の住む実家に戻った慎吾さん。当面はアルバイトをしながら再就職先を探すことにしました。しかし、新卒でない慎吾さんにとって正社員の仕事探しは容易ではありません。
公認会計士への挑戦と4年間の挫折
「自分には何か武器が必要だ。ここまで来たら国家資格を取って人生をやり直すしかない。でも中途半端な資格ではだめだ。稼げるようになりたいから難しい資格にしよう。今まで妥協して生きてきたけど、それももう終わりだ」
慎吾さんはそう決意しました。
どのような資格がよいのかを探している際、何年か前に公認会計士の受験資格が大幅に緩和されたことを知り、慎吾さんはその資格を取ることに決めました。
さっそく資格の予備校に申し込みをし、勉強を開始しました。両親を説得し、アルバイトを辞めて勉強に専念することになりました。
しかし公認会計士は国家資格の中でも最難関の部類に入る資格です。4年たっても慎吾さんは合格できませんでした。
予備校に通うお金もなくなり、一日中自室にこもって勉強をしていた慎吾さん。
「公認会計士の試験に合格する」そのことだけが心の支えとなっていました。
しかし、どんなに勉強をしても一向に受かる気配はありません。それに加え、父親から「いつまで勉強しているんだ。早く合格して仕事を始めろ」といった圧力も強くなっていました。
「俺の今までの経歴では、まともな仕事に就くことなんてできない。中途半端な仕事に就いても、また嫌な目に遭ったりするだけだ。そんなの絶対に嫌だ」
慎吾さんは大きなストレスを感じながら、歯を食いしばって勉強を続けました。