欧州株や米国債券ファンドが注目を浴び、最近は中国テックETF上場も話題だが…

こうしたリスク要因に備えるのであれば、S&P500一択ではなく、複数の資産クラスに資金を分散させることも一案でしょう。

特にここ最近は、欧州株を再評価する動きも出ています。

あるいは、6月24日に東京証券取引所に上場された「グローバルX チャイナテック ETF」のような、中国・アジア株式市場に連動するタイプのETFや、米国の利下げの可能性を織り込んで、米国債券を組み入れた投資信託なども、ポートフォリオの候補になり得ると思います。

ただ正直なところ、複数資産を組み合わせた分散型のポートフォリオを、個人が適切に組めるのか、という問題はあります。確かに米国株への一極集中投資のリスクが高まっているようには見えるものの、国・地域別では、どこにどれだけの資金を配分すれば良いのか。国・地域別の配分比率を決められたとしても、そのマーケットにアクセスできる投資商品は存在するのか。存在したとしても、それは長期投資をするのに相応しいスペックを持ちあわせているのか。さらに言えば、株式以外の資産クラスにも分散させた方がよいのか。といったように、さまざまな点を考慮したうえで、自分に合ったポートフォリオを構築する必要があります。

これらを真剣に行おうとすると、かなり手間ひまのかかる作業になります。だから、オール・カントリーのような、世界中の株式市場に分散投資したのと同様のパフォーマンスが期待できるインデックスが存在しているのです。

資産運用の基本は「シンプル」です。特に個人の場合はまさにそうで、普段は仕事などに時間を費やされるなか、よほど好きでもなければ資産運用に多くの時間を割きたいなどとは考えないでしょうし、自分で資産クラスを選別してポートフォリオを組むとなると、コストの問題も生じてきます。

その点、「オルカン」の略称でおなじみのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に代表されるMSCI-ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)に連動するインデックスファンドのように、世界中の株式市場に分散投資できるツールは、個人にとって極めて使い勝手が良いと考えられます。