最近よく見かける「米国株一極集中投資を見直そう」説

長期の資産形成は「分散投資」が基本ですから、そもそも米国株式市場への一極集中投資には、相応のリスクが伴うと考えるべきでしょう。

米国株一局集中投資の典型例は、米国を代表する株価インデックスであるS&P500への連動を目指すインデックスファンドのみを買うことです。

これは文字通り、投資資金を全額、米国株式のみに投資する形になるため、米国経済、米国株式市場に不透明感が強まれば、国・地域別分散されていないぶん、その影響を“モロ”に被ることになります。

一方で、「S&P500に投資しておけばグローバル分散投資したのと同じようなもの」という意見も一部にはあります。それはS&P500の構成銘柄に、たとえばマグニフィセント7などグローバルで収益を上げている企業が含まれているのに加え、その7銘柄の値動きがS&P500に大きな影響を及ぼすからです。マグニフィセント7は、S&P500を構成する銘柄数において、1.4%に過ぎないのにもかかわらず、時価総額ではその3割を占めています。

確かに、グローバル企業であるマグニフィセント7の売上は、世界経済と直結していますから、「マグニフィセント7をはじめとする米国のグローバル企業株式への投資=グローバル分散投資」という図式は、十分に成立し得る、と考えることはできそうですが、米国株式市場に上場している米国企業であることに変わりはありません。トランプ関税によるインフレ懸念、財政悪化と米国国債の格下げ、過熱気味のバリュエーション、米中対立、安全保障政策をめぐる欧米の関係悪化など、米国固有のリスク要因もあります。