◆「ROBOPROファンド」のパフォーマンス

SBI証券の売れ筋にランクインした「ROBOPROファンド」は、世界の取引所に上場しているETFに投資することによって実質的に世界の株式、債券、リート(不動産投信)、および、コモディティに投資するバランス型ファンドだ。各資産についてAIなどテクノロジーを活用して最適な配分比率を決定し、その結果についても分析することによってより効率的な配分比率になるように学習している。AIによる機械学習の機能を組み込んだ「ロボットによる運用」のイメージを表す名前がファンド名になっている。

同ファンドは2023年12月28日の設定で約1年半の運用実績がある。設定日から2026年6月30日までの運用成績(分配金込みの基準価額)を全世界株式インデックスファンドの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と比較すると、途中では全世界株式ファンドの方が大きくリードすることがあるものの、6月末時点では同期間のトータルリターンが「ROBOPROファンド」の31.15%に対して「オルカン」が31.67%とほぼ変わらない結果になった。「ROBOPROファンド」は2025年5月末時点でハイイールド債券に21.3%、不動産に8.1%、金に5.4%と株式(米国、先進国、新興国)以外にも分散投資しているにもかかわらず、株式100%のファンドと変わらないリターンを稼いでいることは注目される。

株式ファンドは、2024年7月、そして、2025年4月と過去1年半の間に2回の大きな下落局面を経験している。2024年7月は、11月の米大統領選挙に向けてバイデン政権が対中半導体規制の厳格化を検討しているという報道があり、対中強硬路線を明確にしたトランプ氏のインタビューなどが取り上げられて政策リスクへの警戒が急速に高まり、世界的に半導体関連株が大幅下落した影響。2025年4月は「トランプ関税」による影響だった。6月末時点というのが、その株価の急落から株価の水準が戻った直後というタイミングであるため、「ROBOPROファンド」の成績が良く見えるタイミングということはいえるのかもしれない。また、分散投資することによって安定的な値動きで株式の大きな下落率を抑制し、株式と変わらないようなリターンが得られる運用も可能だということを同ファンドは証明してみせたともいえる。

この運用成績が投資家の評価につながっているのだろう。同ファンドへの資金流入が活発になっている。今後のパフォーマンスが注目される。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩