ユーロのネットポジションは
さらに2000年以後のユーロの先物市場におけるネットポジションも確認しましょう。現状ではユーロロングが約9万枚です。引き続き債券市場ではドル離れがテーマになっている模様で、その受け皿としてユーロが選好されているのでしょう。過去には20万枚前後までユーロロングが積み上がった実績もあります。ここからさらにユーロロングが積み上がり、ユーロドルが1.17、場合によっては1.18まで上昇し、ドル指数を90方向まで押し下げていくという可能性も残ります。ただここまで見た通り、株や債券の市場では既にドル資産売りが逆転しています。ユーロドルの上昇もそろそろ息切れしてくる頃合いと考えられます(9ページ)。

一方、仮にドルが続落した場合、ドル円はどうなるでしょうか。ドル円とクロス円をみますと、ドル円は現在、年初比で9%ほどドル安円高です。ただ、クロス円を見ていきますとスウェーデンクローナ円、ユーロ円、スイス円の3つは年初よりも円安です。ポンド円は年初とだいたい同水準です。この為、明確に円高になっているのはドル円とカナダ円だけです。円が非常に強いかといえばそうではありません。ドル円が9%下落している要因の多くもドル安が効いていることにあります。ドルが下がる場合、ドル円も連れ安になる可能性がありますが、他のクロス円に支えられ、ずるずると下がり続ける状況にはなりにくいと考えています(10ページ)。

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後編:「FOMCと日銀、そしてイスラエル・イラン紛争による地政学リスクがドル円に与える影響とは」では、日銀金融政策決定会合やFOMCの注目ポイントを解説していく。
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