第35回マーケットトークです。今回はドル安相場が持続するかどうかを見極める際にどこに注目すればよいのか、この点を主にお話しします。そのほか、ドル円相場の振り返り、5月分の米雇用統計と米国の金融政策の展望、依然として冴えない円、来週の注目ポイントという流れでお伝えしていきます。

まずは過去1カ月の動きも交えドル円相場を振り返ります。ここ1カ月では関税を巡って、リスク回避が和らぐとドルが急上昇する動きが何回か見られました。ドルは現在の金利水準に照らし、かなりドル安方向に押さえつけられています。米中暫定合意や米国の国際貿易裁判所の関税差し止め判断が出された際など、リスク回避姿勢が和らぐと、重しが外れてドルが上がりやすくなるといった特徴がみられました。
6月2日週(以下:今週)は、関税をめぐるリスク回避的な話題の多い一週間でした。トランプ大統領が鉄鋼やアルミニウム製品への関税を25%から50%に引き上げると発表しました。また、SNS上で「中国が合意を完全に破っている」と批判する一幕もありました。米国の経済指標でも製造業、非製造業のISM景況感指数やADP雇用報告が予想を下回りました。一方、足元では雇用統計の発表を受け、145円付近までドル高円安となっています。今週のドル円は142円付近では底堅く、良い材料にはドル高の反応がみられるなど、やや「上がりたがっている相場」のように見受けられます(2ページ)。
