中東情勢緩和でなぜ円は弱かったのか?
今回は「ドル安ノットイコール円高」について解説します(スライド1)。
日本時間の8日、米国とイランが2週間の停戦で合意しました。これを受けて市場では緊張が和らぎ、VIX指数と原油相場とドルがそれぞれ下落した一方、株価と債券が総じて持ち直しに転じ、為替市場では多くの通貨が対ドルで反発しました。ドル円も一時158円を割り込みましたが、その後すぐに切り返し、159円台を回復しています(スライド3)。
先週3日の終値と10日の日本時間20時30分時点を比較した主要通貨の対ドル変化率です。すべての通貨が対ドルで上昇しており、ドルが全面安だったことが分かります。ただ、ドルに次いで弱かったのが円です。このため今週はほとんどのクロス円が堅調に推移しました。これが本日のテーマである「ドル安ノットイコール円高」です。ドルが下落したからといって必ずしも円高になるわけではありません。ドル円もこうした円の弱さによって反発したということです(スライド4)。

著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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