ドル安の持続性を考える

ここからは今回のメインテーマであるドル安の持続性を見極めるポイントについてお話しします。まずドル指数を見ておきましょう。2022年にロシアの軍事侵攻が始まってから、世界中でインフレが進みました。米国も一気に利上げを進め、2022年9月28日にドルが高値をつけました。そして、これまでに高値と2021年の安値の半値戻しを下抜けし、次のチャートポイントである61.8%押しまで下落してきました(6ページ)。

 

ここをさらに下抜けすると次のチャートポイントである76.4%押し、さらには全戻しへと発展する恐れもあります。全戻しとなった場合のドル指数の水準は89.2程度ですから、ここからさらに約1割もドル安が進む計算です。

では、ドル指数を構成する6通貨の内、どの通貨がどの程度、対ドルで上昇したのかを確認すると、ポンドをはじめとする欧州通貨が並びます(7ページ)。

 

ただ、ドル指数は各通貨にウェイト付けをしたうえで算出されています。最も上がったポンドも11.9%ですが、特に重要なのが約6割を占めているユーロです。スウェーデンクローナやスイスフランはウェイトがそれぞれ4.2%、3.6%と低く、ドルへの影響は大きくありません。

では、過去10年間のユーロドル相場をみてみましょう。上がユーロ高ドル安、下がユーロ安ドル高です。2021年辺りがユーロの高値、ドルの安値です。2022年以降、ECB(欧州中央銀行)も利上げをしましたが、それ以上にFRBが利上げを進めた結果、ユーロ安ドル高が進みました。その後、現在の1.15近辺までユーロが反発してきた状況です(8ページ)。この1.15は2021年以降、ユーロ安が進んだ後の戻りを阻まれ、その後大きくユーロ安が進んだことから、節目のポイントでもあります。従って、ここからユーロドルが1.15を超えて上昇する場合、さらにユーロ高に弾みがつくと考えられ、注目です。仮に、1.15を超えて1.20や1.25まで行くような大相場となる場合、ドル安も続くことになり、ドル安の持続性を見る上で重要なポイントになってくると考えられます。