長期金利や株の動きは
まず今週の長期金利の動きです。今週は米国の長期金利が一番下がりました。これがドル安に作用したとも言えますが、一方でこのことはそれだけ米国債が買われた証左でもあります。今週は米国30年債の入札がありましたが、非常に堅調な需要が確認されています。4月の相互関税発表後のドル離れやドル資産離れといった動きが逆転しています(6ページ)。

次にMSCI株価指数を見てみましょう。ドル指数を構成する6カ国と米国に加えて参考までに全世界と新興国、先進国の株価の変化も先週金曜日と12日(木)の終わり値と比較しています。ここでも米国債同様、米国株がわずかな差ではありますが、一番上がっています。以上からドル資産離れは既に一巡しており、為替のドルだけがいつまでも売られ続けるわけではないと考えられます(7ページ)。

そこで改めてユーロドルと金利差を見てみましょう。過去1年間のユーロドル相場を縦軸、長期実質金利差を横軸にとっています。ここでいう長期実質金利差は、長期金利から10年物ブレイクイーブンインフレ率を引いた実質金利の差です。ユーロ圏の長期金利はドイツのものを代用しています。
黒い散布図が昨年6月から今年3月まで、赤い散布図が今年の4月以後です。現状は金利差に照らし、かなりユーロ高方向に上振れしている水準です。ユーロドルが1.15を上抜けし、さらに1.2まで上がる相場なのかどうかについてここまでお話ししてきましたが、現状では米国債、米国株のいずれも4月、5月に警戒されたようなトリプル安を脱しています。為替だけいつまでもドルが下がり続けるとは考えにくい状況です(8ページ)。
