さらなるドル円の下押し材料

ほかにもドル円の下押し材料が出てきました。トランプ政権が交渉期限としている7月9日よりも前に相互関税の税率を一方的に提示すると報じられました。さらに現在25%とされている自動車関税の引き上げを検討中との報道もありました。加えて中東情勢を巡る地政学リスクもありました。このほか米国の週間新規失業保険申請件数が増えていました。

その上で生産者物価指数(PPI)の伸びも前月比で0.1%と発表されました。このペースが続けば1年で1.2%程度しか物価が上がらないという水準で、インフレが非常に弱いということになります。この結果、ドルは143円台前半まで下落しました。また、13日の早朝にイスラエルが実際にイランを攻撃しました。そこからリスク回避の円買いが連想され、142円80銭付近までドル安円高が進みました。その後、多少持ち直して現在144円台を回復した状況です。

改めてドル指数を見ますと、2020年以後の高値からの半値押しを下抜けし、さらに61.8%押しである98付近も下抜けしてきた状態です。ここを抜けると全戻しが警戒されます。その場合のドル指数は89付近で、仮にそこまでドルが下がるとすれば現状からさらに約8~9%ぐらいドル安が進む計算です(3ページ)。

 

そこで重要になってくるのがドル指数を計算する際に約57.6%と最もウェートが高いユーロの動きです。ユーロドルについては先週も1.15を巡る攻防に注目とお伝えしました。今週は後半にかけて1.16台乗せもみられました。このユーロドルの1.15の上抜けがドルを圧迫している状況です(4ページ)。

 

次に2024年以後のユーロドルのチャートと相対力指数(RSI)をみてみましょう。RSIとは「売られすぎ」や「買われすぎ」を示すオシレーター系のチャートです。右側の縦軸の70%を超えてくると買われすぎ、即ち売りシグナル、逆に30%を下回ってくると売られすぎ、つまり買いシグナル点灯ということになります。

現在のユーロドルはその70%に迫っており、そろそろ売りで反応していいのではないか、とのシグナルと読むことができます。ただし、RSIの売りシグナルは従来のレンジを大きく上抜けし、新しいレンジへと上昇していく場合、「ダマシ」ともなり得ますから、慎重に判断する必要があります(5ページ)。

 

その点、前回お伝えした通り、実需のフローが伴わず、為替相場だけが一本調子で上がり続けるのは容易ではありません。そこで別のプロダクトについても確認しておきましょう。