5月19日週 注目ポイント

最後に5月19日週のポイントをまとめます。

出所:内田氏

米国の主要な経済指標は一通り出尽くしました。そこで来週の注目は5月20日から22日に控えるG7財務省・中銀総裁会議の期間中に開催される可能性がある日米財務省会談です。

4月と同様、為替の話が何も出なかったとなれば、145円を底に147円、場合によっては148円台への再浮上も有り得ます。ただ、日本側から為替の協議を打診して何もなかったというのも不自然です。従って、為替について「継続して協議することで一致した」といった報道が出る可能性もあり、その場合は145円を再び割り込んでいくリスクがあると考えられます。

このほかFRB当局者の発言も多数控えていますが、5月12日週の発言を見る限り、新しい材料は出にくいと思われます。一方、減税法案の行方にも注目です。基本的にマーケットは成立を織り込みつつあり、だからこそタームプレミアムが拡大したと言えますが、まだ結末について注視する必要があります。

最後に、ドル円相場の水準を金利差に照らして確認します。

 

図では2022年以降の日米間の実質金利差(長期金利から市場のブレークイーブンインフレ率を差し引いたもの)を横軸、ドル円を縦軸にとっています。現状の金利差は約2.22%ですがこれに対応するドル円は約146円です。ただ、データは回帰線の上下に4円から5円の幅を持って散らばっており、足元のドル円は現状の金利差に照らし、141円から150円程度となります。この為、財務省会談で為替の話が特に何も出なければ、回帰線よりも上側、つまり145円よりも150円に近いエリアまで上昇する一方、何か為替に関する報道が出た場合は回帰線よりも下側、つまり145円以下まで緩むと考えられます。

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