増益傾向、販売価格の上昇が利益押し上げ 26年3月期の見通しは?
最後に業績を確認しましょう。石油資源開発は利益の振れ幅が大きめですが、足元は拡大傾向にあります。
石油資源開発は2024年3月期までの10期で最終赤字を3回経験しました。最終赤字は、カナダにおける事業の取り止めや参画終了に伴う損失や、新型コロナウイルスや国内資産の減損などに起因しました。
利益は2023年3月期に大きく拡大します。販売価格が上昇し、営業利益以降の段階利益を押し上げました。翌2024年3月期は販売価格の下落などから減益で着地しますが、利益は以前より高水準です。
2025年3月期は再び増益の予想です。海外で原油や液化天然ガスの販売が伸びているほか、投資有価証券の売却益を計上しました。純利益は第3四半期時点で前年同四半期の2倍となる744億円に達しており、通期では前期比51.2%増の812億円を予想します。
【石油資源開発の業績予想(2025年3月期)】
・売上高: 3891億円(+19.4%)
・営業利益: 620億円(+12.2%)
・純利益: 812億円(+51.2%)
※()は前期比
※2025年4月24日時点における同社の予想
出所:石油資源開発 決算短信
見通しはどうでしょうか。石油資源開発は英子会社の売却を決定しており、その譲渡益は2026年3月期に計上の予定です。これは純利益の押し上げに寄与することが想定されます。
一方で、原油価格は足元で軟調な展開です。米トランプ大統領による関税やOPECプラスによる増産の公表が影響していると考えられます。エネルギー価格の下落を想定するなら、業績予想は弱気なものになるかもしれません。
2025年3月期の本決算では、翌2026年3月期の見通しが関心を集めそうです。本決算は5月13日に公表を予定します。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)