カーボンニュートラル領域を事業化 CO2の回収・貯留サービスを提供
先述のとおり、石油資源開発は事業利益の7割をE&P事業から得ています(2024年3月期)。同社は、この比率を2027年3月期までに6割へ、2031年3月期には5割まで引き下げる計画です。
【石油資源開発の事業利益と利益構成の目標】
背景には脱炭素化の流れがあります。パリ協定を受け温室効果ガス削減の動きが世界で広まり、日本も2050年までにカーボンニュートラル(※)を目指す方針です。石油資源開発も、2050年までに温室効果ガスのネット排出量ゼロを目指しています。
※カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量と吸収量の差(ネット排出量)がゼロになること
脱炭素の動きは、一般にエネルギー資源の開発事業者にとって逆風です。石油資源開発も、中長期のエネルギー価格の見通しを引き下げました。E&P事業以外の強化は、脱炭素化のなかでも成長できる体制を目指して取り組むものです。
この一環で注力するのがカーボンニュートラル分野の事業化です。二酸化炭素の回収や貯留のサービスを提供し、脱炭素社会で新しい収益を獲得する狙いがあります。利益目標は事業利益ベースで2027年3月期に10億円、2031年3月期に20億円です。
カーボンニュートラル分野は、まずは国内の既存油ガス田を活用し収益化を目指します。2024年には東新潟地域(新潟県)と苫小牧地域(北海道)の施設が政府の支援事業の候補に選定されました。また海外でもプロジェクトへの参画などを視野に事業拡大へ取り組みます。