2230兆2808億円÷日本の人口 → 1人あたり、平均1800万円超の資産がある…!? と考えるのは早計
ところで「2230兆2808億円」という、家計部門が保有している金融資産残高を見て、「そんなに持っているの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ざっくりとした計算になりますが、日本の人口が1億2000万人だとしたら、国民1人あたりが保有している金融資産の残高は、1858万5673円になります。国民1人あたりですから、ここには子供も含まれています。仮に夫婦2人で暮らしている家庭なら、その家計には
1858万5673円×2=3717万1346円
という金融資産があることを意味しますが、これは統計の定義上、いささか割り引いて考えた方が良いところがあります。
まず、金融資産の中に、企業年金・国民年金基金等に関する年金受給権、ゴルフ場預託金などの預け金、預貯金の経過利子など未収・未払金など、多くの個人が金融資産と認識していないものが含まれています。たとえばゴルフ場預託金などは、ゴルフ会員権を持っていない人には何の関係もない数字です。
次に、特に預金の中には、個人事業主の事業性資金が含まれています。個人事業主の場合、法人口座ではなく個人口座を、取引先からの売上を入金する先に指定しているケースが多く、この手の資金がある程度含まれていることを考慮すると、やはり2230兆2808億円という数字を額面通りに受け止めるわけにはいきません。
個人金融資産の推移を見る時には、表面上の数字だけでなく、その数字の裏側も見るようにすると、より実態を正確に把握できるはずです。