2024年12月末時点の個人金融資産の総額が、過去最高額の2230兆円になりました。インターネットの情報サイトや新聞などのニュースソースを通じて、ご存じの方も多いかと思います。
ここで言う個人金融資産とは、日本銀行が3カ月ごとに公表している「資金循環統計」の一項目である、「家計の金融資産・負債残高」の数字です。資金循環統計は家計部門だけでなく、金融機関部門や民間非金融法人部門(金融機関以外の事業法人)、公的非金融法人部門(郵便局株式会社や日本中央競馬会等の公的法人企業など)、政府部門の金融資産・負債残高も掲載されています。
では、家計部門が保有している金融資産の数字を、より細かく見ていきましょう。
まず総額は2230兆2808億円です。前期である2024年9月末比で2.32%の増加でした。また前年同期比では、4.00%の増加です。
内訳を見ていきましょう。
まず現金・預金は1134兆2584億円で、全体に占める比率は50.85%です。現金・預金は以下の4つに分かれています。それぞれの総額と、前年同月比は以下のようになります。
現金・・・・・・105兆2968万円(▲3.37%)
流動性預金・・・・・・671兆70億円(2.96%増)
定期性預金・・・・・・350兆5684万円(▲2.65%)
外貨預金・・・・・・7兆3604億円(8.71%増)
徐々に金利が上昇してきているにも関わらず、なぜか現金のまま保有されている額が105兆円もあること自体、驚きですが、現状、預金に関しても、収益性より流動性を重視する傾向が続いています。この1年の動きを見ても、定期性預金の残高は2.65%減少していますが、流動性預金のそれは2.96%増えています。
金利が上昇してきたとはいえ、現在の金利差では、定期性預金を選ぶ理由になりません。メガバンクの預金利率を見ると、普通預金が年0.200%であるのに対し、定期性預金は10年満期で年0.500%です。わずか0.300%の金利差では、流動性を犠牲にしてまで定期性預金を積極的に選ぶ理由にはならない、ということです。