利益は横ばいで推移 25年3月期予想は減益から増益へ上方修正
最後に業績の振り返りと見通しを解説します。
鹿島建設の売上高は増加傾向です。2024年3月期までの5期で売上高は6909億円増加しました。建設受注が伸びており、その消化もおおむね順調な様子がうかがえます。
一方で利益は停滞感があります。同じ期間に営業利益は64億円の減少、純利益は52億円の増加にとどまっています。
利益の停滞は建設事業が主因です。完成工事(建設物のうち完成し収益を認識したもの)総利益率は2024年3月期で8.9%と、直近ピークの2018年3月期(13.6%)から4.7%ポイント低下しました。建設物価の高騰が続いており、工事の採算が悪化しているようです。開発事業等の利益率は改善傾向にありますが、鹿島建設の主力は建設事業であり、全体では利益は横ばいが続いています。
2025年3月期は比較的好調です。期首に通期で1050億円を予想した純利益は、第3四半期までに1200億円へ上方修正されました。前期比でも8.7%減から4.3%増と、一転して最終増益の計画へ見直されます。建設事業の採算が改善したほか、開発事業で米国の流通倉庫の売却が進んだことが貢献しました。
【鹿島建設の業績予想(2025年3月期)】
・売上高:2兆8700億円(+7.7%)
・営業利益:1440億円(+5.7%)
・純利益:1200億円(+4.3%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想
出所:鹿島建設 決算短信
2025年3月期は予想配当金も上方修正されています。期首で90円を予想していた年間配当金を104円へ引き上げました。配当性向は40.9%となる見込みで、自社株買いを含めた総還元性向は65.9%を予想します。本決算は5月14日に公表の予定です。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)