円高の動きに注目
ここからは二つ目のアジェンダである、為替の話に移りましょう。

こちらはドル円とドル指数のここ一週間の動きをまとめたものです。
まずドル指数は週初と比べると横ばい、ないしは若干強含んだ後、終盤少し下落しました。最終的に小幅なドル安になっています。
一方のドル円相場は、152円近くでスタートし149円前半までドル安円高が進みました。つまり、今週の為替相場のメインは円高の動きだったということになります。

こちらは主要通貨のこの1週間の対ドル変化率をまとめたものです。
米ドルより弱かったのはユーロとカナダドルだけでした。ただ、英ポンドやスウェーデンクローナはせいぜいドルに対して0.4%程度上昇したにすぎません。
この為、一番目立ったのは、一番左の円です。対ドルで1%以上も上昇しました。

改めて今週のドル円の動きを整理しましょう。
まずドル円の下押し材料になったものの一つが円金利の上昇です。要因は2月17日に発表された日本の第4四半期実質GDPの成長率が予想を大きく上回ったことや、日銀高田審議委員の「少なくとも1%まで金利を上げていく」という言葉にも表れているように、日銀が「引き続きしっかりと金利を上げていく」というスタンスを示したことでしょう。
さらに先ほどご紹介した、消費者物価指数の上振れも影響していると考えられます。
こうした要素から日本の利上げの天井が1%よりも高くなるのではないかという見方が出てきたことにより金利が上昇し、そして円高につながったと考えられます。
また円の買戻しの動きも影響していると考えられます。たとえばヘッジファンドは依然として円ショートのポジションです。このこともドル円の下押し材料になったと思われます。
一方のドル円の下支え材料についても考えたいと思います。
一つはドルの底堅さです。米国の長期金利は小売売上高が予想を下回った後4.5%を下回り低下方向に向かいました。
ところが2月19日に公表されたFOMCの1月会合の議事要旨で、改めて「利下げについては様子見」というスタンスが確認されたことで金利が下げ止まり、その結果ドルが底堅く推移し、ドル円を下支えしていると考えられます。
またS&P500やNASDAQ指数が史上最高値を更新する中、週半ばまではリスク選好地合いとなり、ドル円を下支えしました。ただ、2月20日以降、米株の大幅安によって、ドル円の下支え材料としては後退してしまいました。