長期金利は上がっているものの

次に長期金利です。

長期金利は期待潜在成長率と期待インフレ率を足した「期待政策金利」にプレミアム(悪い金利上昇)を足したものになります。

現状は期待インフレ率が上がった結果、期待政策金利も上がっていると考えられます。そのため、日本の長期金利が1.5%に向かって上がっている状況です。

 

期待インフレ率の動静をめぐり注目してほしいのが、2月22日朝方に発表された日本の消費者物価指数です。

全ての品目を含む総合指数は前年比で4%上昇しました。

次いで、日銀が2%を目標達成基準に置いている生鮮食品を除く総合指数、いわゆるコア指数は前年比3.2%の上昇となりました。

コア物価指数からさらに生鮮食品やエネルギーを除いた総合指数(コアコア)についても2.5%伸びが拡大しました。

世界規模の急激なインフレの始まりは2022年のロシアのウクライナへの軍事侵攻により、いろいろなコモディティの相場が急騰したことがきっかけでした。

他の多くの国では根強い部分はあるもののインフレは収まりつつあります。たとえば米国は総合CPIで前年比3%、ユーロ圏(ドイツ・フランス・イタリア)は2.5%、英国3%、カナダ1.9%が直近の数字となっています。

つまり日本は今、G7の中で最もインフレが進んでいる国であり、少し大げさな言い方をすると日銀だけがインフレを抑えることができなかったとも言えます。

こうした背景もあり、市場では期待インフレ率が上がっています。

 

期待インフレ率はエコノミストの推計、企業のサーベイなどいろいろなもので測ることができます。

そうしたなかでも、市場で最も注目されているのが国債の利回りと物価連動国債の利回りの差を取ったBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)と呼ばれるものです。

グラフは年末から年始のところで止まっていますが、現在BEIは過去最高の水準まで上昇しており、足元では1.67%です。

こうしたことを受け、マーケットでのインフレに対する期待感や予想は高まっており、長期金利を押し上げている状況です。

以上より、長期金利は低下に転じるというより、まだ上昇する可能性の方が高いと考えられるでしょう。