企業型DCの状況

企業型DCで指定運用方法が適用された人は2024年3月末で62万人。企業型DC加入者等数の約7%にあたります。

規約(プラン)ごとでみると指定運用方法を導入しているプランは44%にすぎず、半数以上のプランで指定運用方法の設定がありません。とはいえ、設定のないプランの多くは、新規加入者全員が配分指定手続きをする前提で、制度運営がされていると想定されます。

指定運用方法にどんな運用商品が選ばれているのかについて全体のデータはありませんが、企業年金連合会のアンケートベースでは指定運用方法を設定済みの企業のうち7割ほどが元本確保型を選定しています※。

※2022年(令和4)年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要版)

個人型DC(iDeCo)の状況

iDeCoには251プランがあります(※一つの金融機関で複数のプランを設定しているケースもあり、登録運営管理機関156社よりプラン数は1.6倍多い)。

251プランのうち、指定運用方法を選定しているのは71。うち元本確保型に設定しているのは31プランです。iDeCoでは企業型DCと異なり、半数以上の指定運用方法が投資信託となっています。なお、指定運用方法に設定されている投資信託のうち、資産配分が固定されているバランス型が15、資産配分が変化していくターゲットイヤー型は25となっています。

そもそも指定運用方法は運用商品を選べない人のために設定された

指定運用方法は、運用商品を選べない人を支援する仕組みとして設定されました。

制度が議論された2016年ごろは、DC資産の6割が元本確保型に配分されており、将来のインフレリスク等に対応できないのではないか、という危惧がありました。そのため、最初の掛金拠出から一定期間経過後(多くの場合4カ月弱)に、「配分指定をした」とみなす運用商品をプランごとに定めることが可能になりました。

当初、分散投資ができる運用商品がイメージされていましたが、労使協議により元本確保型の運用商品も選定が可能になっています。

なお、指定運用方法の対象となるのは2018年5月以降に加入者になった人ですが、それ以前に加入者になった人に影響する場合もあります。たとえば、それまでプランで提供されていた運用商品が除外され、毎月の掛金で当該除外商品を購入していた場合などです。その際に運用商品を選択し直すことを忘れてしまうと、指定運用方法が適用されるケースが生じます。

「とりあえず定期預金」から「とりあえず外国株式型パッシブ」へ

2010年以降、2014年のNISA開始、2018年のつみたてNISA導入など、資産形成における制度面での変化が続きました。あわせて資産形成を行う場である金融市場も動き、米国株式市場・国内株式市場ともに大きく上昇し、それとともにDC加入者の運用商品に対する選択状況も変わりました。