ファミリーファンドやファンド・オブ・ファンズが主流 小さいファンドも大きく運用

さらに「ファミリーファンド方式」や「ファンド・オブ・ファンズ方式」の場合、純資産総額が小さいからといって運用効率が下がるとは言い切れません。

ファミリーファンド方式とは、複数の投資信託を1つのマザーファンド(親ファンド)で運用する方法を指します。私たちが直接に購入する投資信託はベビーファンド(子ファンド)の位置づけで、実質的な運用はマザーファンドが担います。純資産総額が小さい銘柄も、マザーファンドで大規模に運用されている場合があります。

一方ファンド・オブ・ファンズ方式とは、1つの投資信託(ファンド)を複数の投資信託(ファンズ)で運用する方法です。ファミリーファンド方式と同じく、投資家の資金は投資先のファンドで十分に大きい規模で運用される場合があります。

そして、投資信託の多くはこれらの方式で運用されます。単位型とETFおよび公社債投信を除くと、純資産総額の上位10銘柄はすべてファミリーファンド方式です。純資産総額を1000億円未満に絞っても、上位10銘柄はいずれもファミリーファンド方式またはファンド・オブ・ファンズ方式が採用されています。

純資産総額が小さい投資信託も、実際にはまとまった額で効率的に運用されることが多いのが実情です。純資産総額の小ささが、運用効率の低さに直結するわけではありません。

繰り上げ償還は投資家の投票で決まる

最後に「純資産総額が小さい銘柄は繰り上げ償還される」という説についても触れておきます。繰り上げ償還とは、信託期間の満了前に償還(現金化)してしまう手続きです。「純資産総額は大きいほどいい」とする解説は、これを論拠にするものもよく見られます。

確かに純資産総額の小さい銘柄は繰り上げ償還されやすいと考えられます。投資信託の多くは、総口数が一定を下回ったときに繰り上げ償還される可能性があることを定めています。純資産総額の小さい銘柄は基本的に総口数も少ないため、繰り上げ償還の条件に抵触しやすくなるでしょう。

繰り上げ償還の条件は目論見書に記載されています。投資したい銘柄を見つけたとき、その純資産総額の小ささが気になったときは、事前に確認しておきましょう。

なお、繰り上げ償還の判断は、最終的には投資家の投票で決定されます。繰り上げ償還を実施するためには、原則として投資家から一定以上の賛同を得る必要があります。強制的に行われるわけではないので、その点は安心してください。