タンス預金の存在を知った妹がまさかの行動に…
妹に電話をしてから半月ほどして私が実家を訪れると、家中が惨憺たる状態になっていました。棚やタンスの引き出しは軒並み開かれ、畳の上には中から引き出した衣類や書類が散乱しています。まさに、泥棒が入った後はこんな感じなのかという惨状でした。
しかし、私にはそれが妹の仕業であることがすぐに分かりました。
用心深い私は実家を後にする時には必ず施錠します。そして、実家の鍵を持っているのは私と妹だけなのです。
何を考えてるの! 思わず頭に血が上り、妹を問い詰めようとスマートフォンを手に取りました。しかし、ここは冷静に妹が何をしようとしたのか見極めなければと思い直し、家からなくなっているものを分かる限りリスト化しました。
妹が持ち去ったのは、母が若い頃に使っていたブランドバッグやゴールドのアクセサリーなどでした。私が前回探しきれなかった“タンス預金”も多少はあったかもしれません。
けれど、母の通帳や証券類は私が預かって名古屋の自宅に保管していたので無事でした。
その日の夜に妹のスマートフォンにかけましたが、案の定、応答しませんでした。自分がしたことが私にバレたのを察したのだと思います。メールやLINEに「連絡して」とメッセージも送りましたが、なしのつぶてでした。
妹は昔から無鉄砲で時々とんでもないことをやらかします。とはいえ、その実は傷つきやすく臆病で、両親や友人などとトラブルを抱えた時は決まって「お姉ちゃん、助けて」と頼ってきたものでした。
そもそも、東京のタワーマンションでセレブな生活を送っているはずの妹が、実家で家探しをする理由が分かりません。これは何かあると思い、その週の土曜日、家族には「東京の友達に会いに行く」と言って妹の自宅に向かいました。